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中国側の魂胆はわかっていても、「中国で出遅れていると言われるたびに、悔しい思いをしてきた」という豊田社長は、巻き返しを図るためにお家芸のHV技術を投入するしか道はなかった。15年までに基幹部品からの現地での一貫生産に踏み出す。
中国政府のお墨付きを得たトヨタは今年9月、反転攻勢に出た。新美篤志・副社長は四川省成都市で開かれた自動車の国際会議で、「15年をメドに中国での新車販売台数を11年の2倍の180万台に引き上げる」方針を明らかにした。
新工場を含めて生産能力を大幅に拡充する。低価格の中国専用車は13年から2つの現地の自動車メーカーとの合弁会社である一汽トヨタ、広州トヨタから発売。先行する米GMと独VWを追い上げる体制を整えたのである。
だが、日中関係の悪化で、出足からつまづいた。反日の不買運動にともなう販売の落ち込みと在庫累積などの被害は当初予想を大きく上回る。トヨタは今年、中国市場で100万台を販売する計画だった。トヨタの全世界の販売量の10%だ。この目標は、現地の雰囲気を見る限り、達成は難しそうだ。
中国政府は国内自動車産業育成のために、中国企業との合弁という条件を飲んだ外国企業の参入しか認めてこなかった。利益の半分は中国側に渡さなければならず、しかも技術などが流出する危険がある不平等条約だが、13億人という世界最大の人口を抱える巨大市場の魅力は大きい。日本の自動車メーカーは次々と中国市場に参入していった。中国側は、合弁会社で得た利益と技術を元に、中国資本の自動車メーカーを育成したのである。
中国側の狙いがHV技術にあることはいうまでもない。「これを手に入れたら、トヨタに難癖をつけて中国から締め出すハラではないか」(自動車担当アナリスト)との観測もある。トヨタにとって、中国はやはり鬼門なのだろうか。
(文=編集部)
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