すでに関東では、地銀首位の横浜銀行(横浜市)が第2地銀の東日本銀行(東京都)と2016年4月に経営統合することで合意。横浜銀が口火を切るかたちで、関東で「玉突き」再編が始まった。
生き残りを懸けた地銀の再編は、預金データを管理する勘定系システムの優劣が問われる闘いでもある。全国に105(上場しているグループ・銀行は84)ある地銀・第2地銀からの受注をITベンダー(ハードウェア・ソフトウェア販売およびシステム開発会社)が競い合う。
国内地銀・第2地銀105行の勘定系システムのシェアは、NTTデータが35行とトップで、以下、日本IBMの25行、日立製作所の17行、日本ユニシスの11行、富士通の11行、NECの5行、日本総合研究所の1行と続く。システムが異なる地銀が経営統合すれば、ITベンダは1社に絞られることになる。横浜銀行と東日本銀行の経営統合では、規模が大きい横浜銀行(NTTデータ)のシステムに片寄せされ、東日本銀行の富士通が脱落する。
一方、経営規模が近いと判断は難しい。肥後銀行と鹿児島銀行は預金量ではほぼ同じ。勘定系システムは肥後銀行が日立、鹿児島銀行はユニシスだが、統合比率、本店所在地、頭取の首脳人事とともに、勘定系システムをどうするかが注目される。両社の場合、勘定系システムの一本化は両行の力関係がはっきり出てしまうので、先送りされる可能性もある。
東京都民銀行と八千代銀行は昨年10月、経営統合し、東京TYフィナンシャルグループが発足したが、勘定系は東京都民銀行がNTTデータ、八千代銀行はNECのまま。システム統合は17年以降に検討する。
●塗り替わったITベンダー勢力図
メガバンクの再編によって、ITベンダーの勢力図は大きく塗り替わった。
再編が始まった1999年当時の主要銀行の勘定系システムは、東京三菱銀行と富士銀行がIBM、住友銀行がNEC、第一勧業銀行とさくら銀行が富士通、三和銀行、東海銀行、日本興業銀行が日立だった(いずれも当時の銀行名称)。