この連載企画『だから直接聞いてみた for ビジネス』では、知ってトクもしなければ、自慢もできない、だけど気になって眠れない、世にはびこる難問奇問(?)を、当事者である企業さんに直撃取材して解決します。今回は放送作家の鮫肌文殊氏が、アップルストアの店員が首から下げている名札に関する疑問について迫ります。
【今回ご回答いただいた企業】
アップルストア銀座様
昔、イラストレーター・エッセイストのみうらじゅん氏が「女は、エッチをした瞬間からオレのことを『じゅん』と呼び捨てにし始める」とエッセイで書いていたのを読み、さもありなんと思ったことがある。
まさに「名前の呼び方」とは、相手との人間関係の象徴だ。例えば、本連載を共に担当している放送作家の山名宏和と林賢一の場合、同じ事務所・古舘プロジェクトの先輩後輩という間柄なので、2人とも普段は「鮫肌さん」と、さん付けで呼んでくれる。しかし、そんなに年の違わない山名は時にくだけた調子で「サメちゃん」と言うことがある。10歳以上年の離れた林は絶対に「サメちゃん」とは呼ばない。実は、芸能界は意外と先輩後輩の関係性がしっかりしている。特に芸人の世界では、1日先に事務所に入っただけでも相手を「兄さん」と呼ばねばならない掟がある。そこまで厳しくはないが、放送作家の世界も、なんとなくそんな芸能界のルールを踏襲しているようだ。
あるプロデューサーが呼び始めたのが定着して、TBSでは私のことを「鮫センセイ」と呼ぶスタッフが多い。他局ではそんなふうに呼ばれたことはない。なんだか、こそばゆい呼ばれ方だが、呼ばれているうちに慣れてしまった。だから、私のことを「鮫センセイ」と呼ぶ人はTBS系のスタッフである証拠なのだ。
もうこのペンネームを名乗り始めて35年くらいたつが、鮫肌とは呼ばずに絶対に本名の「イノウエ」で呼ぶ人たちがいる。高校時代から組んでいるバンドのメンバーである。
学生時代は本名だったので当たり前なのだが、私にとってはいまだに「イノウエ」と呼んでくれる貴重な存在だ。
このように、人間関係の機微を教えてくれる名前の呼び方。まさに日本が誇る文化のひとつである。ところで、アップルストアの店員は、名札にファーストネームを記載し、お客への対応の際にもファーストネームを使うというではないか。なんだそれ。おかしくないか?
●アップルストアではファーストネームの名札?
だから直接、アップルストア銀座様に聞いてみた。