2008年、当時小学校5年生の少年が乗る自転車が高齢女性に衝突し、意識不明に陥らせた事件があった。13年7月の神戸地方裁判所では少年の母親に対し、9521万円という高額の損害賠償を命じたというニュースは世間を騒がせた。法律違反をして事故を起こすと、当然ではあるが損害賠償責任は重くなる。具体的に法律違反とは、携帯電話の使用をはじめ、両耳にイヤホンをつけ音楽を聴く、無灯火、逆走、高速走行や信号無視などだ。しかし、このような行動は多くの人が日常的に目にするのではないだろうか。未成年であったとしても過失の度合いが高い場合は、今後も高額な賠償を求められていくだろう。
この事故をきっかけとして、自転車保険への加入を検討した人も多いのではないだろうか。これまで、自転車保険はその必要性について積極的には周知されてこなかったが、最近ではコンビニエンスストアなどでも簡単に加入できるなど、利便性が高まってきている。
補償内容の異なる自転車保険
一般的に自転車保険は、被保険者が被害者になった場合と加害者になった場合の両方を補償してくれる。自分がケガを負ったり死亡した場合は傷害保険、そして加害者になった場合は賠償責任保険から保険金が支払われる。いわば2種類の保険をセットにした商品だといえる。自転車以外の交通事故を補償してくれる商品も数多く存在する。
セブン-イレブンで加入できる三井住友海上火災保険の「自転車向け保険」は、1人当たり年間4160円で1億円までの賠償責任に備えられる。死亡は400万円、入院については1日当たり6000円が支払われる仕組みだ。夫婦で加入すると5940円、や家族では8780円となっており、個人で加入するより割安だ。しかし、親と子の2人暮らしといった家庭では一人ずつ加入しなければならず、割高感が否めない。ちなみにケガや死亡については、自転車での事故に限らず、交通事故を全面的に補償してくれる。
au損保の「あ・う・て ケガの保険Bycle」は、補償される範囲に応じて、ブロンズ(4290円)・シルバー(6910円)・ゴールド(1万1460円)の3つのコースに分かれている。ブロンズコースは割安ではあるが、賠償責任の限度額が5000万円までとなっているので注意が必要だ。