国内外での各種洗剤や紙オムツといった日用品の伸長が、業績好調の背景にはある。14年6月にインドネシアで新発売した衣料用手洗い洗剤「アタック Jaz1(ジャズワン)」は、中間層でシェアを広げた。懸案だった中国事業は「メリーズ」人気で黒字化したという。
花王は国内では15年1~3月にヘアケアや歯みがきなど日用品と化粧品の新製品を、前年同期の約2倍の200品目投入する。消費増税前の14年1~3月は定番品の供給を優先して、新製品の発売を抑えてきた。今年は、年代ごとの細かな需要に応える商品を増やし、価格の底上げを狙う。
アジア進出の先駆者といえるのがユニ・チャームだ。30年以上前からアジアを中心に海外展開を積極化させ、実績を積み上げてきた。14年12月期は決算期変更に伴う9カ月間(4~12月)の変則決算になるが、売上高は5536億円、営業利益は613億円。営業利益は実質21%増え、8期連続で過去最高を更新した。中間所得層の拡大を追い風に、アジア各国で紙オムツなどの好調が続いた。
14年12月期時点の海外売上高比率は64.4%で、海外売り上げを牽引したのはアジアだ。アジア地区は6.5ポイント上昇し49.3%と、5割に迫る勢いだ。
●高齢化社会が到来するアジア諸国
経済成長が著しいアジア地域では、急ピッチで高齢化が進展している。中国・国家統計局によると、13年の中国の60歳以上人口は2億243万人(総人口比率14.9%)に達している。これが50年には4億人を突破すると試算されており、台湾やタイなどアジア諸国も同様の課題を抱える。アジア諸国は「大高齢化社会」の到来を迎えようとしている。これをビジネスチャンスと捉えて、日本企業のアジア進出が本格化した。
14年も押し詰まった12月に、製紙や繊維大手のインドネシアへの投資報道が相次いだ。王子製紙、大王製紙、東レ、ダイワボウポリテックという、そうそうたる顔ぶれだ。投資の目的はすべて、ベビー用紙オムツ生産に向けた合弁会社の設立や、製品増産のための事業拡張だった。
現在、インドネシアのベビー用紙オムツ市場で、最も輝かしい成果を挙げているのがユニ・チャームである。同社の「マミーポコ」は紙オムツの代名詞といわれるほど浸透。シェア65%という驚異的な数字を達成している。
アジアでは、日本より速いスピードで高齢化が進むといわれている。だが、今のところ、高齢者向けのサービスや商品にお金を使う傾向は、はっきりとは見られない。今後、アジアの高齢化加速に伴い、大人用紙オムツ需要の大幅な拡大が見込まれるのだろうか。高齢化社会をにらんで進出する日本企業が、これからも増えそうだ。
(文=編集部)