株主総会では母親で相談役の千代子氏も勝久氏を支持する立場から発言。「社員さんをいじめないでください。監視カメラを、あちらこちらにつけましたよね」と久美子社長を非難した。夫婦そろって娘を非難する姿には、出席した個人株主からも「もうやめろ」といったヤジが飛んだ。
理路整然と株主総会を仕切った久美子氏だが、社員をいじめているというのは本当の話なのだろうか。
両者の対立が始まった直後、複数の週刊誌に同時に、久美子氏によるパワハラ問題が掲載された。写真週刊誌の見出しは『鬼のパワハラ言動 社員たちの悲鳴』といったものだった。母親が総会で指摘した「いじめ」を報じたもののようにも見える。
だが、「真実は話がまったく逆だ」と大塚家具関係者のひとりは言う。社内でパワハラが問題になっていたのは久美子氏ではなく、勝久氏のほうだったというのだ。幹部社員を怒鳴りつけることもしばしばで、そんな父親の行動を、久美子氏が繰り返し問題にしてきたのだという。
2009年に勝久氏が久美子氏に社長を譲って以降、久美子氏は勝久氏に引退を迫っていた。ところがここ数年は逆に勝久氏が社長復帰に意欲を見せ始めており、2人の対立は幹部社員も知るところとなった。久美子氏はパワハラなど勝久氏の問題点を取り上げることで、勝久氏を引退に追い込もうとしていたようだ。パワハラの証拠集めをして、弁護士に意見書などをつくらせていた。
母親が総会で暴露した監視カメラは、実は勝久氏のパワハラの言動を収めるため久美子氏が設置していたものだという。実際、取締役会での勝久氏のパワハラまがいの暴言などが収められたビデオが存在するらしい。
●勝久氏側の情報操作か
それがなぜ、「久美子氏のパワハラ」に話が入れ替わったのか。久美子氏側が株主総会に向けて勝久氏のパワハラ問題を表面化させるのではないかとにらんだ勝久氏の側近が、先手を打って攻撃させたというのだ。仮にビデオが流出しても、パワハラはどっちもどっち、という印象を世間に与えることができると読んだのかもしれない。