ベンチャー企業はなぜ上場を目指す?急成長を後押しするVCの意外な収益構造とは?
VCはそれぞれ、規模やベンチャー企業にかかわるタイミング、投資後のかかわり方などに違いがあり、すべてが同じ動きをするわけではありません。したがって、ベンチャー企業を判断する際、「どんなVCが投資しているのか」という点に注目することによって、そのベンチャー企業がどういう状況なのかを判断する一助にもなります。
投資に対するスタンスにも違いがあります。非常に早い段階、場合によっては事業のアイデアしかないようなタイミングで投資するVCもあれば、「そろそろ株式公開するだろう」というタイミングで投資を行うVCもあります。規模の大きなVCの中には、タイプの異なる投資先をカバーするファンドを複数抱えている組織もあります。
また、投資だけを行い、あとは見守るだけというスタンスのVCもあれば、投資先の企業(経営者)と二人三脚で企業価値を向上させていくスタンスのVCもあります。さらに、「コバンザメ商法」のように、有力なVCが投資する際に尻馬に乗っていくようなVCもあります。
最近は、東京大学、京都大学、大阪大学などの有名大学がVCを作り、大学発の企業を支援するという例も増えてきています。純粋なVCとは違いますが、事業会社や商社などが自社の事業との親和性などから、直接投資するケースもあります。
もし、ビジネスを起こしてVCとの付き合いを考えているのであれば、VCのスタンスや哲学をよく知ることはとても重要です。
VCの収益構造は、こうなっている
VCは、どうやって収益を確保しているのでしょうか。
例えば、まだ誰にも知られていないような有力企業を発掘して投資し、その後も企業価値を向上させるサポートを行った結果、その企業がIPOを行ったとします。そうすると、VCは出資分を市場で売却することで、投資した資金の何十倍、時には何百倍や何千倍というリターンを得ることができます。
しかし、IPOするまでには何年もかかる上、そもそも投資先の企業のほとんどは株式公開にまで至りません。IPOできなくても、M&Aによって投資を回収するケースもあります。しかし、VCはファンドで集めたお金を投資する先を見つけていく必要がありますし、投資先を管理監督する必要もあります。そのための資金は、どうやって賄っているのでしょうか?
一般的にVCは、既述したようなキャピタルゲインのみで回っているわけではありません。そもそもVCは、誰か一人のお金ではなく、ファンドを組成してさまざまな人や機関から出資を募っています。その際、契約の中に「設立手数料」「管理手数料」「成功報酬」が決められており、それが収益となります。