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湯之上隆「電機・半導体業界こぼれ話」

半導体市場成長の一方、なぜ半導体「製造装置」市場は成長できないのか 現状と展望分析

文=湯之上隆/微細加工研究所所長
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 この結果、今後、装置市場は00年のピークを超えられないのではないかと一見思われるが、前工程の装置ごとに分析してみると、(1)00年のピークを超えている装置群、(2)00年のピークに近づいている装置群、(3)00年のピークを超えられない装置群、(4)上記のどれにも属さない特異的な装置群、以上の4つのケースに分類できることがわかった。以下では、その詳細を説明する。

・ケース(1):00年のピークを越えた装置群
 
 00年のピークを超えたといえる装置群を図3に示す。その装置群は、露光装置、洗浄・乾燥装置、ウエハ検査装置、高電流イオン注入装置である。

半導体市場成長の一方、なぜ半導体「製造装置」市場は成長できないのか 現状と展望分析の画像3

 前述したように、露光装置では00年頃に比べて約3倍のスループットを実現している。しかし、最先端装置がArFからArF液浸に移り変わるとともに、装置単価が高騰した。また、ダブルパターニングの導入による工程数の増大も寄与し、00年のピークを超えることができたのだろう。今後も、多重露光工程の増加や、極端紫外線リソグラフィ (Extreme ultraviolet lithography、EUV)の量産機が実現すれば市場を拡大させる可能性がある。

 従来、洗浄は工程フローの3割以上を占めていたが、微細化の進展とともに、より微小なパーティクル除去が必要となり、洗浄工程数がさらに増大したと考えられる。ウエハ検査工程も、より微小欠陥の検査が求められるようになり、検査工程数が増えたのだろう。つまり、洗浄・乾燥装置とウエハ検査装置が00年のピークを超えたのは、工程数の増大による。これらの装置市場は、今後も拡大していくと考えられる。

・ケース(2):00年のピークに近づいている装置群

 00年のピークに近づいている装置群を図4に示す。その装置群は、コータ・デベロッパ、ドライエッチング装置、酸化・拡散炉、中電流イオン注入装置である。

半導体市場成長の一方、なぜ半導体「製造装置」市場は成長できないのか 現状と展望分析の画像4

 中電流イオン注入装置は06年に、コータ・デベロッパは07年に、それぞれ00年のピークに接近した。また、11年にはドライエッチング装置、酸化・拡散炉、中電流イオン注入装置が、00年のピークをわずかに上回った。

 このように、これら装置群は00年のピークに近づき、一部それを超えた年もあるが、リーマン・ショック後の急激な落ち込みを除けば、ピーク以下~70%の範囲を乱高下している。今後も、この傾向が続くのではないか。

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