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湯之上隆「電機・半導体業界こぼれ話」

半導体市場成長の一方、なぜ半導体「製造装置」市場は成長できないのか 現状と展望分析

文=湯之上隆/微細加工研究所所長
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 ただ、ドライエッチング装置については、多重露光工程の増加、3次元トランジスタ(FinFET)の普及、NANDフラッシュの3次元化の推進などにより、工程数や処理時間の増大が見込まれる。それゆえ、今後は00年のピークを超えて市場が拡大する可能性がある。

・ケース(3):00年のピークを超えられない装置群
 
 00年のピークを超えられない装置群を図5に示す。その装置群は、アッシング装置、ランプアニール装置、高エネルギーイオン注入装置、減圧CVD装置、プラズマCVD装置、メタルCVD装置、スパッタリング装置、エピタキシャル装置、CMP装置である。

半導体市場成長の一方、なぜ半導体「製造装置」市場は成長できないのか 現状と展望分析の画像5

 最も多くの装置が、このケースに相当する。特に、成膜関係の装置がほとんどすべてこのケースに属している。これは、成膜装置が、微細化が進んでも頻繁に買い換えられないためであろうと推測できる。

 04年に高エネルギーイオン注入装置が、06年と07年にエピタキシャル装置が、ともに00年のピークを超えたが、これらを例外とし、リーマン・ショック後の急激な落ち込みを除けば、00年のピークの40~90%の範囲内で乱高下している。今後も00年のピークを超えることはないのではないか。

 ただし、ケース(2)のドライエッチング装置と同じ理由で、スパッタリング装置やプラズマCVD装置が00年のピークに近づく可能性はあると思われる。

・ケース(4):特異的な装置群

 ケース(1)~(3)のいずれにも当てはまらない特異的な装置群を図6に示す。それは、常圧CVD装置と、Cuメッキ装置である。

半導体市場成長の一方、なぜ半導体「製造装置」市場は成長できないのか 現状と展望分析の画像6

 常圧CVD装置は、半導体の製造工程に使われなくなったため、04年以降に市場が消滅した。一方、Cuメッキ装置には00年のピークがない。そして、乱高下はあるものの、04年以降は00年の3倍前後の市場規模となっている。これは、00年がCu配線の立ち上がりの過渡期だったことに起因する。

製造装置市場の展望

 以上、前工程の装置群が4つのケースに分類できることを示した。今後、00年のピークを超えて市場拡大が期待できるのは、ケース(1)に属する露光装置、洗浄・乾燥装置、ウエハ検査装置などと、ケース(2)のドライエッチング装置であると予測する。しかし、装置市場全体としては、今後も00年のピークを大きく超えることはないと考える。

 この分析結果を基に、東京エレクトロンとアプライド社の経営統合について、考察してみよう。

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