“おしゃれな”ダイソー、ワンプライス業態で世界を席巻!?
●世界的な“ワンプライスブーム”
わが国の100円ショップは、もはや「あって当たり前」の生活ストアとして国民の間に広く定着している。最近では「百貨店、スーパー、コンビニに次ぐ第4の業態」とも呼ばれる。そういう意味で、わが国は「100均先進国」と言えるわけだが、近年の世界的な不況を背景に、こうしたワンプライス業態が海外でも人気で、世界的に注目を集めているらしい。
アメリカの「ワンダラー(1ドル)ストア」、イギリスの「99ペンスショップ」、韓国の「100ウォンショップ」などがそれだ。
例えばアメリカには、ワンダラーストアが4社あり、その合計店舗数は2万店と、日本の3倍以上ある。中でも最大手の「ダラージェネラル」は全米に約9600店、2位の「ファミリーダラー」は約6800店もの展開をしている。これらの業態は比較的古くからあるが、2008年のリーマンショック後に急速に業績を伸ばし、特にここ数年、年間数百店ものハイペースで出店攻勢をかけている。
もっとも、商品の品質やセンス、品揃えの広がりと深さ、そして店としての完成度という点から見れば、これらアメリカをはじめとする海外のワンプライス業態は、日本の100均の足元にも及ばない、というのが筆者の率直な評価だ。
それくらい、日本の100均業態は素晴らしい。実際、100均は海外から来る観光客の人気ナンバーワンの土産物ショップとなっており、「100均こそクールジャパンの代表だ」と称賛する外国人も多い。
●えっ、これがあのダイソー?
言い換えれば、「ジャパニーズ100均」は日本型コンビニエンスストア同様、世界を席巻し得る、最有望な業態と目される。その最右翼が、「ダイソー」を国内で3270店舗展開する100均のガリバー・大創産業(本社広島・矢野博丈社長)だ。同社はすでに海外28カ国、658店もの店舗網を有する。
その大創産業による、最近の店づくりが業界で注目を集めている。「えっ、これがあのダイソー?」と驚くような、おしゃれな「ニューダイソー」が、全国に続々お目見えしているのだ。
今春、東京・お台場にオープンした「ダイソー ダイバーシティ東京プラザ店」(写真参照)はその代表。同店の店舗面積は210坪とやや小ぶりだが、品揃えはフルラインで約5万アイテムの商品がぎっしり並ぶ。
ただし、大量の商品がぎゅうぎゅうに押し込まれ、雑然とした売り場の中で欲しい商品を探す、かつてのダイソーのイメージは、この店にはみじんもない。店内表示やサイン、POPの充実、さらにスマートな什器使いやレイアウトの工夫により、あくまで商品は見やすく探しやすい。
何より目を引かれるのは、ファッショナブルで都会的な店づくりだ。見事にカラーコーディネートされたあか抜けたディスプレイに加え、商品もパステルカラーや花柄、ドット柄などおしゃれな色づかいやデザインのものが目立ち、「日本の100円ショップは、ついにここまで来たか」と驚かされる。間違いなくこのモデルは、世界のワンプライス業態をリードする最先端フォーマットとなるだろう。
(文=月泉博/シーズ代表取締役)