野菜に関しては値引きを実施中のローソン
次に、業界2位のローソンに聞いた。
–食品ロス削減のために、デイリー商品の値引きをするべきではないでしょうか。
広報 本社から特別値引きを止めたりはしていません。むしろレジには値引きのキーがついていますし、値引きシールを発注できるシステムを本社は用意しています。価格は店舗オーナーに決める権利があります。
–では、なぜ現場で値引きシールを目にしないのでしょうか。
広報 コンビニの商品に鮮度を求めているお客様もいらっしゃるので、その部分もあるように思います。また、スーパーに比べてコンビニ業界全体として、弁当などの商品の値引きが根付いていません。ただ、ローソンの野菜などには、「味は問題ないが傷んで見栄えが悪い商品に関しては、値引きをしましょう」といった基準を設けて取り組んでいます。
–野菜は値引きできるが、弁当はできないということでしょうか。
広報 弁当については、店舗オーナーの判断です。ただ、最近は廃棄ロスをなくす取り組みよりも、商品を過不足なく仕入れることに重点を置いています。研修などで指導をして、廃棄ロスや機会ロス(商品の欠品によって販売機会を失うこと)をなくすシステムも今後どんどん導入されていきます。
–値引きされた商品が売れた場合、本社のロイヤルティが下がるということはあるのでしょうか。
広報 それはありません。店舗が値引きして売っても、廃棄をしても本社のロイヤルティは変わりません。
販売価格に関しては特に把握しないファミリーマート
最後に、業界第3位のファミリーマートに話を聞いた。
–なぜ店舗で弁当などの商品が値引きされないのでしょうか。
広報 本部として値引き販売を制限しているわけではありません。「推奨価格」はありますが、価格の決定権は独立した加盟店にあるので、値引き状況については把握していません。
–オーナーに一任しているのに、なぜ値引きをする店舗がないのでしょうか。
広報 コンビニはスーパーと違って閉店時間がないので、閉店間際の値引きというのはありませんが、各店舗のオーナーが判断しているのではないでしょうか。
–食品ロス対策として、本部は何かしているのでしょうか。
広報 例えば、食品リサイクルなどで環境負荷軽減に向けた取り組みなどは行っておりますが、値引きをして廃棄をなくすといった取り組みはしておりません。
このように、各社申し合わせたように似たような答えが返ってきた。今回の納入期限の延長も農林水産省が主導の対策。コンビニ業界が廃棄ロスについて真剣に考えるのは、もう少し先の話になりそうだ。
(文=A4studio)