「FXだろうが太陽光だろうが、アダルトでもMakeでも、やってることが飛んでるように見えるけど、実は、仕入れて、広めて、売るという、ビジネスの基本はそんなに変わらないよね。仕事は、少しでも安くコストを押さえたりとか、どんな宣伝して売上を上げるかだからね。データ分析なんかも、アダルトとかロボットとかあんまり変わんないんだよね。基本的に分析係は同じで、『次はこれね』って分析表に当てはめてくっていう考え方」
新規事業の立ち上げ方も、実にDMMらしいといえる。また、DMMは航空会社のスカイマークが経営破綻した際に増資を試みたことが話題になったが、亀山氏はその舞台裏も打ち明けた。
亀山 最近もスカイマークが倒産しそうというのをニュースで見て、DMMエアラインができたら宣伝になってカッコイイと思って。でも、社長へのパイプがまったくないから、会社の代表番号に電話したの。
やまもと 自ら?
亀山 うん。「ご予約の方は1番を、ご意見は2を、広報は3、その他の方は4番を……」ってアナウンスで、4番押してさ。そしたらオペレーターが出てきたから、DMMと名乗って「社長に増資の話をしたいんだけど」と話したら、「ちょっとお待ちください」とたらい回しで、3人目くらいで秘書につながって「代表に伝えます」と。まあ翌日、丁重にお断りされたけどね(笑)。
これは、決して笑い話ではない。どんな大企業でも、創業期には「身の程知らず」と批判されるような徒手空拳のチャレンジを繰り返し、「成功するまで止めない」という飽くなき執念で事業化する。それが実を結んで軌道に乗り、シェア獲得に至っているのだ。
市場調査や事業化調査に傾注するのも大事だが、まずはボールを投げてみないことには、会社と市場との接点は生まれない。
社員が常に「旬の人」であり続けられるDMM
こうした行動特性は、DMMの仕事論にも通底している。同社は、社員に対して常に「稼げる機会」を用意している。いくら有能な人材であっても、トレンドの変化などにより「過去の人」になってしまうケースはゴマンとあるが、DMMは社員が常に「旬の人」であり続けられるように、環境を整えているのだ。
「会社がやれることは流行りの業種を見つけて学ぶチャンスを与えるだけ。ビデオレンタル店の店員にITを学ばしたり、AVプロデューサーにソーシャルゲームの作り方を教えたり。トレンドが変わっても社内に新しい場所があれば逃げ道にはなるからね。会社がやるべきことは社員に活躍できる場を用意して、他社よりちょっとでも稼ぎやすくしてあげること」(亀山氏)