DMM.comグループ(以下、DMM)の創業者であり、現在会長を務める亀山敬司氏。同社の会社説明会では、就職活動や同社の事業について、作家のやまもといちろう氏と対談を行った。「DMMニュース」に掲載されたその内容は、通常の経営論とは一線を画するものとなっている。
経営者が「戦略」や「採用」をテーマに語るとなれば、整然とした抽象論や無難な一般論に収まることも多い。しかし、亀山氏は心中を余すところなく打ち明けているのだ。
まず、「新卒者が就職先を選ぶ基準はどうあるべきか」という話題について、亀山氏が指摘したのは成長率だ。これは、「会社の伸びしろ」ともいえるが、成長率が高いことで、DMMのように「楽しみながら出世しやすいよー!」(亀山氏)という環境が整うことにつながる。
DMMの成長は、「非アダルト事業」の伸びによって強化されており、アダルト事業の売上構成比は50%前後まで下がっている。しかしながら、アダルト事業を縮小するというわけではない。アダルト事業で安定した収入を得られるからこそ、DMMの経営基盤は強固なものとなっており、新規事業にもチャレンジできるのだ。
それについて、亀山氏は「エロという安定したプラットホームを手に入れたから、当面は社員を食わせていける。だから安心して今稼いでいる分を次の事業に投資できる。安定した収入があるから人を養える」と表現している。
新規事業の一例としては、「DMM英会話」「DMM.make AKIBA」、「DMM 3Dプリント」などが挙げられる。これらは、現時点ではまだ莫大な収益を上げるに至っていないが、「流行りものだけじゃなく、5年、10年をかけた長い投資もできる。ウチは非公開で一般株主がいないから、短期的な決算結果を求めなくていいってところがあるからね」(亀山氏)というわけだ。
短期的な結果を求めず、長い目で投資ができるというメリットは大きい。株式上場企業であれば、たとえ決算で赤字となる見込みでも、黒字にすることが求められる。その結果、当初予測した業績は下方修正に追い込まれ、信用力が低下して株価も下落する、という悪循環に陥ってしまうケースも多い。
DMM流の新規事業開拓法
新規事業についても、亀山氏の考え方は核心を突いている。本業の隣接領域を開拓する、というのが新規事業立ち上げの基本といえるが、亀山氏はまったく通説に囚われない。
やまもと氏が「新しい仕事を立ち上げるにあたっては、門外漢のはずの別の部署の方が担当されたりすると思うんですけど、どういう組織になってるんでしょうか?」と尋ねたところ、亀山氏は以下のように答えている。