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「ダイヤモンド」vs「東洋経済」! 経済誌双璧比べ読み(1月第2週)

ソニー、三井物産…続々参入のヘルスケア市場、技術一流でも海外勢に浸食される理由

先端医療日本は医療も遅れる?(「Thinkstock」より)
毎日の仕事に忙殺されて雑誌を読む間もないビジネスマン必読! 2大週刊経済誌「週刊東洋経済」と「週刊ダイヤモンド」を比べ読み。小難しい特集を裏読みしつつツッコミを入れ、最新の経済動向をピックアップする。

「週刊ダイヤモンド 01/12 新春号」の特集は『ここまで治る! 超先端医』だ。山中伸弥・京都大学教授がノーベル賞を受賞し、iPS細胞などを使った未来の医療へ期待が高まっている。しかし、自分や家族に気になる病気やケガがあるならば、実用化目前の新技術も知っておきたいところ。5年以内に実現する可能性を持つ「超先端医療」を結集した特集だ。

大学や研究機関、病院、民間企業の専門家を対象とした『医療の重要課題と実現予想年』アンケート調査によれば、疾患別に見るとアルツハイマー型認知症が重要度ランキングの1位、3位、6位、8位を占め、2017年には「進行を阻止または改善可能な治療法が期待される」という。また、がんは2位、5位、6位、9位を占めており、2017年にはがんの生物学的特性(転移、浸潤、増殖、血管新生等)が明らかになると予想されている。再生医療は4位と10位に入り、今後5年以内に実用化ラッシュが期待されているという。

 特集ではパート1で「再生医療の開花」を特集し、パート2でがん、アルツハイマーに挑む「免疫療法の復活」を、パート3で手術、薬物治療、放射線治療という「がん3大療法の変身」を、パート4では「日の丸ヘルスケアの正念場」を 取り上げている。

 パート1『再生医療の開花』の記事『研究は一流なのに製品化で後塵 韓国承認方式を拝借する焦り』では、再生医療製品の実用化ラッシュが期待される日本だが、再生医療産業の面では“後進国”に甘んじている現状を紹介している。各国で承認された再生医療製品の品目数を見ると、ドイツは9品目、米国は11品目、韓国は19品目、対して日本はわずか2品目だ。日本では治験を実施する承認を得るまでに約4年を要しているためだ。

 日本はようやく13年から再生医療製品の承認体制が変更されることになった。新承認制度はまず、少人数で安全性と有効性が確認できれば、特別に早期に“仮免”を与えて、販売を認める。早期承認をする代わりに、販売後も追跡調査で有効性や安全性を検証し、そのデータをもって正式な承認を判断するというものだ。これによって患者の治療へのアクセスを早め、結果的に、メーカー側は収益を得て、運転資金を回していける仕組みに変わるのだ。ただし、実はこの新しい承認体制は韓国の現行制度に酷似しており、業界では「韓国方式」と呼ばれているほどだ。

 再生医療製品の世界市場規模は2020年に約8300億円となる。これは10年の約5倍。世界の再生医療が産業として伸びていくためには、日本は韓国の後追いをするしかないのが現状だ。

 また、パート4『日の丸ヘルスケアの正念場』でも医療技術が進化を続けているのは間違いない。しかし、新しい技術や製品が「日本製」とは限らない。むしろ現時点で、医療機器メーカーの世界ランキング20社にランクインしている日本企業はわずか2社とヘルスケア領域は欧米メーカーの牙城なのだという現状を紹介している。

 ヘルスケアは美味しい市場だ。まず、医療従事者向けなのでコンシューマー向けのデジタル家電に比べれば単価下落圧力は弱い。なにより着実な需要拡大が見込まれている。先進国市場が底堅く、新興国市場は顕著な成長を見せる。17年にはその10年前と比較すると2.2倍に伸びる見通しだ。

 ただし、国内ヘルスケア産業は旧態依然とした問題に直面しており、グローバル企業への育成が阻害されている。日本では医薬品のドラッグ・ラグ同様に、医療機器の認可を得るまでの期間が長く、米国と比べて開発から承認にいたるまでの“デバイス・ラグ”が少なくとも19カ月あるのだという。  承認期間は短縮化の流れにあるが、現状が“輸入超過”の状態なので、結局、海外企業が潤うことになってしまうのだ。

 しかし、医療機器専業メーカーの収益性は高い。2011年度の世界17位のテルモの営業利益率は16.3%であり、世界19位のオリンパスは20.5%だ。

 デジタル家電事業で大コケしたソニーはオリンパスと提携し、パナソニックは、パナソニック ヘルスケア社を中核子会社に据えている。また、三井物産は病院運営やメルシャンの医薬品事業を買収するなど、累積で約1000億円以上もの巨費を投じている。富士フィルムホールディングスは富山化学工業などを買収し、ヘルスケア領域へ経営資源を集中投下、今や予防・診断・治療領域をカバーする総合ヘルスケアカンパニーとなった。多様なプレーヤーがヘルスケア市場を有望とにらんで群がっているのだ。
(文=松井克明/CFP)

BusinessJournal編集部

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