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厚生労働省が5日発表した4月の毎月勤労統計調査(速報、従業員5人以上)によると、現金給与総額(名目賃金)に物価の変動を反映させた実質賃金は前年同月比0.7%減となった。減少は25カ月連続で、過去最長を更新。2024年春闘の賃上げ結果が反映され始めたものの、物価上昇が名目賃金の伸びを上回り、依然マイナス圏から抜け出せていない。
減少率は前月と比べると1.4ポイント縮小し、22年12月以来、1年4カ月ぶりの小さい幅となった。消費者物価指数は2.9%上昇したが、春闘の賃上げが顕在化し、基本給と残業代などを合わせた現金給与総額が労働者1人当たり平均で2.1%増加。このうち基本給を中心とする「所定内給与」が2.3%増と、1994年10月以来29年半ぶりの高い伸びを記録したことが縮小に寄与した。
この流れが今後も続き、実質賃金がプラス転換できるかどうかが焦点だが、5月以降は再生可能エネルギー賦課金の引き上げによる電気料金の上昇や、政府の電気・ガス料金の補助金終了で大幅な物価上昇が予想される。また、円安が進んだ影響で輸入物価の上昇も見込まれる。
野村総合研究所の木内登英エグゼクティブ・エコノミストは「5、6月も所定内給与の伸びを確認しなければ、中小・零細企業まで賃上げが広がっているとは言えない」と指摘した上で、実質賃金については「安定的にプラスになるにはなお時間がかかる」との見方を示した。(了)
(記事提供元=時事通信社)
(2024/06/05-16:06)
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