「週刊ダイヤモンド」(ダイヤモンド社/1月25日号)は『カネになる家 リフォーム&中古住宅』という特集を組んでいる。「家は住んでいるうちに老朽化し、ライフスタイルや時代のニーズに合わなくなってくる。空き家にしておけば、劣化はさらに速く進む。手入れしなければ“あばら屋”となるのは確実だ。住みつぶす発想から、資産価値のある“カネのなる家”に変え、もうける発想へ。資産価値を向上させるリフォームと中古物件選びの秘訣に迫る」という特集だ。
中でも同誌記事『プロローグ 空き家がのしかかる』では、空き家が増えている現状を紹介している。総務省の「住宅・土地統計調査」によれば、2008年10月1日時点で、全国で757万戸もの空き家が存在し、住宅に占める空き家の割合は、13.1%にも上っている。数では東京都(75万戸)、大阪府(62.5万戸)、神奈川県(42.9万戸)と、都会が圧倒的に多い。今後、人口減の影響で、これまでのように新築も増えていけば、さらに空き家は増えていくことになる。
背景には「更地にすると固定資産税が6倍になるため、あえて空き家にしたままにする人もいる」が、空き家はホームレスが住みつく、犯罪の温床になる、住宅が崩れれば損害賠償の責任も負いかねない……といったリスクもある。
●リフォームで資産価値が上がる
特集記事Part1『戸建て・マンションを宝に変える』では、物件を資産価値のある“宝”に変えていくリフォームのノウハウを徹底調査。「一般的な木造住宅の場合、まずは漏水に気をつけたい。屋根やベランダからの雨漏りは柱を劣化させるだけでなく、湿気が大好きなシロアリが繁殖する原因になる。配水管からの水漏れも要注意だ。築20年以上たつと、高い確率で起こる。漏水は、実際に屋根裏や床下を見てみないとわからない。そこで大切なのが家の定期点検だ。人間の健康診断と一緒で、早期に不具合が見つかればダメージは少なく、かかる費用も最小限で済む。点検は年1回、できれば年2回やったほうがいい」
住宅診断の費用は5~7万円ほど。一度プロに見てもらい、その後は自分で点検すればいい。1981年より前に建てられた戸建て住宅は、現在の耐震基準を満たしていないので、耐震改修をしたほうがいい。工事費用は120万円程度が一般的だという。さらに、持ち家に付加価値をつけるなら、断熱性能がベストだ。
「現在の新築は建物の断熱性が最も高い『省エネルギー対策等級4』が主流だ。自宅の断熱性能とあまりにも乖離していたら、改修したほうがいい。築20年以上の家はごく薄い断熱材しか入っていないことが多い」
あまり個性的な内装や設備、間取りは中古流通では敬遠される。一般的なもののほうが、資産価値の面からするとよい。「1.5階などフロアとフロアの間に設けられた床、いわゆるスキップフロアがある間取りは、買い手がなかなかつかない」
特集記事Part2『得する中古・リフォーム最前線』では、中古住宅の市場の活性化に向けて政府も動き出しつつあるが、リフォーム業者選びが難しい。大手から個人の大工まで、さまざまな業者が手掛けるリフォームには価格や工事の内容をはじめ、不透明な点が多いからだ。
特集記事Part3『中古マンション 人気物件の秘密』では、価値が維持される“ビンテージ”物件の人気の秘密に迫っている。買った瞬間に価値が1~3割も下がる「新築プレミアム」は、新築信仰の根強い日本の特徴だ。一方で、なかなか価値が低下しないビンテージマンションは、築10年以下では駅から至近距離で周辺環境に恵まれた物件、築11~30年では有名デザイナーが手掛けたものや地域のランドマーク的な物件、築31年以上では売り出し当初から優良物件として名をはせたマンション……といった特徴があることがわかった。つまり、なんらかの理由で供給が制限されている希少性の高い物件ということだろう。