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●資産売却で利益を水増し
現在のソニー決算では、ある手品のような利益捻出手段が使われている。実は「ソニーは米国会計基準を採用しており、日本の会計基準では特別利益として認識されるような一時的な資産売却益も、本業の利益を示す営業利益の中に含めている」のだ。
つまり資産売却までも、本業の利益として扱うことができる。このため、12年度(13年3月期決算)は米国本社ビル売却(13年1月)に、医療情報提供を行うエムスリー株の一部譲渡、ソニーシティ大崎の土地・建物売却(13年2月)と資産売却を行い、必達目標とした営業利益1800億円を上回った。12年4月に就任したばかりの平井氏にとって、巨額の資金調達を見込んでいただけに、営業利益1800億円は重要だったのだ(スペシャルレポート01-3『「資産売却」が本業? ソニー決算の異常事態』)。
こうしたソニーの姿勢を同誌は「場当たり的な対応」と批判する。そして「ソニーの不幸は出井伸之氏、ハワード・ストリンガー氏など歴代の経営トップがいずれも『勇退』し、経営責任を取っていないこと。無責任体制が今の苦境につながっている」という有力OBの声を紹介する。
これからもいろいろな事業が売られる可能性が高く、「ソニー・オン・セール(ソニー販売中)」としてファンドからも注視されているという。まだまだ苦境が続きそうだ。
(文=松井克明/CFP)
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