急拡大するオフィス内無人販売、“非常識な”ビジネスモデルとは?お客が労働力に
●意外な相違点
逆に、相違点もある。
オフィスグリコは商品の補充、代金回収をサービススタッフという社員が行っているためにエリアが限られ、都市部が中心にならざるを得ない。「導入先は20人以上の職場が対象」としている。
一方で、ネスカフェアンバサダーは「5~19人の職場がメイン」という。アンバサダー(社内ボランティア)が仕入れ・補充など従業員代わりに働いてくれる。しかも、アンバサダーのクレジットカードからの引き落としなので、不良債権化しにくいという利点も大きい。言ってみれば、取引先の社員が自社の協力者になってくれるので、リスクの低い優秀なビジネスだといえる。
「都市部の大企業の場合、周辺にコーヒーショップやコンビニエンスストアも多く、コーヒーを買う場所には困らない。地方の小さな職場ほど重宝がられるというわけだ」(同記事より)
ビジネスモデルが洗練されていて、これからも伸びる余地があるのは、ネスカフェアンバサダーのほうか。ただし、ともに現在の市場規模は10万件台だ。新しいものを積極的に取り入れる職場は、10万程度ということなのかもしれない。
いずれにせよ、オフィス内部に、仕事の邪魔をしないで入り込める業種はまだまだ参入の余地がある、というヒントになりそうだ。
(文=松井克明/CFP)