近年、農業に目覚める若者が多いという。
9月12日付日経産業新聞記事『芽吹く農系女子 就職先多様化で志願者増』によれば、「大学の農学系学部の人気が高まっている。けん引役は女子学生だ。就職先も多様化しており、人気を見込んで各地で農系学部が新設される。『ノケジョ』と呼ばれる農系女子が芽を吹き始めた」という。
なんと、「男臭い『大根踊り』の印象が強い東京農業大学も実に新入生の4割強を女子が占め」「明治大農学部の女子の志願者は6年前から1500人以上増えた。この間、男子学生の増加は1000人にも満たない。女子の急激な志願者の増加が、全体の倍率を引き上げ、農学部のレベルを高めている」という。
背景には、食の安全性への意識が高まったことと、バイオ技術の進展で食料だけでなく、環境や生命といった課題の解決も期待されるようになり、生活の基盤を築く学問だとの意識が浸透してきたことがあると関係者は指摘する。
合格倍率を見ても、「全国の私立大学の学問分野別の合格倍率(志願者数を合格者数で割った倍率)は農系学部は3.76倍と医師、薬剤師の仕事に直結する医薬系学部」(医学部は14.16倍、薬学部4.14倍)に次いで高く、理工学部(3.03倍)や、法学・経済学などの社会科学系学部(2.73倍)を上回っているのだ。
ただし、農系学部は初期の設備投資がかかるために、農学部を抱える私立大学は全国に6校しかないことも影響している(明治大、東京農大、玉川大学、名城大学、近畿大学、東海大学)。このため、龍谷大学(大津市、瀬田キャンパス)など3校で2017年までに農系学部が新設される計画だという。
●自然栽培に目覚める男性たち
一方で同記事によれば、男性も農業に目覚め始めているという。こちらは、「自然栽培」だ。自然栽培とは、定義に決まりがあるわけではなく、農家によってやり方が異なるものの、通常、無農薬、無肥料、不除草(草取りをしない)、不耕起(耕さない)などを特徴とする農法だ。「自然農法」と呼ぶこともある。
8月31日に東京・日比谷で「農FUTURE!未来を作る5人+αの百姓のお話~僕らとあなたと農の行き先~」というイベントが開催された。このイベントは自然栽培に関わる6人の男性たちが、その魅力と将来像を話すもので、会場は200人を超える参加者で満員となる人気ぶりだった。
出演者たちは、農業に関わるようになったきっかけを次のように語った。
「食品添加物だらけのパンのメーカーに就職して企画開発し、売りまくっていたものの、そうした生活に疑問を感じたことがきっかけ」
「建築業界にいて、それだけではあまり誇れない自分に気がついた。かっこよく、楽しく、おいしく生きたい」