世界大学ランキングトップ100を目指す「トップ型」(年間最大3億円補助)に選ばれたのは、旧7帝大(東京大学、京都大学、東北大学、九州大学、北海道大学、大阪大学、名古屋大学)、東京医科歯科大学、東京工業大学、筑波大学、広島大学、早稲田大学、慶應義塾大学の計13大学。グローバル化の推進役となる「グローバル化けん引型」(年間最大3億円補助)に選ばれたのは千葉大学、東京外国語大学、国際教養大学、国際基督教大学、上智大学、立命館アジア太平洋大学など計24大学だった。
国のお墨付きを得た選定校「スーパーグローバル大学」は、今後10年間で急速に国際化を進めていくことになる。「トップ型」「グローバルけん引型」にそれぞれ落選した大学との間で、大きな差が生まれそうだ。
なかでも注目の落選大学は、「トップ型」「グローバルけん引型」ともに落選した「首都大学東京」だ。20年の東京五輪開催に向け、世界にアピールすべき東京都立の大学が「スーパーグローバル大学」に選ばれない事態になっている。もともとは石原慎太郎都知事(当時)が「まったく新しい大学をつくる」と、都立4大学の整理・統合を行い、東京都立大学を突如として改名した経緯がある。「新銀行東京」と同じ改名ロジックだが、石原氏の威光も薄れつつあるなか、グローバル化の波に乗り遅れた“首都大学”は、東京都立大学に戻したほうがいいのかもしれない。
もう一つの注目落選大学は、「グローバルけん引型」に落選した中央大学だ。「MARCH」(明治大学、青山学院大学、立教大学、中央大学、法政大学の頭文字)ライバルの明治大学、立教大学、法政大学は「スーパーグローバル大学」に選ばれたが、中央大学は青山学院大学とともに落選してしまった。
なお、特集記事『キャンパス立地が序列に影響 中央の没落招き、青学も後遺症』にあるように、都会志向の強い現代学生には不人気の郊外キャンパス。神奈川県厚木市から03年に都心回帰をした青山学院大学も底は打ったが人気回復とはなっていない。一方、1978年以来八王子にキャンパスを置き続ける中央大学は、法学部没落に歯止めがかからず、スーパーグローバル大学落選とダブルパンチだ。
なお、実は首都大学東京も91年に目黒区から八王子市に移転している。ひょっとして、「スーパーグローバル大学」の最低条件も都会志向だったのかもしれない。グローバル化が進んでローカルが取り残されるという時代の皮肉が、ここに感じられる。
(文=松井克明/CFP)