しかし、視点を変えてスカイマークの立場からみると、確固とした再建策全体のシナリオが固まっていないから支援できないと責められるのは、酷なものだったはずだ。2大航空会社との共同運航によって集客力が回復し、当面の売り上げが確保できる体制にならないと、資本増強策に協力して抜本的な再建に手を貸そうという投資ファンドが出てくるとは考えにくいからである。
現時点では、スカイマークの再建策の行方は予断を許さないが、本稿がここで指摘しなければならないのは、スカイマークがこれほどの窮地に追い込まれることになった過程に横たわっている問題のほうである。
●共同運航を執拗に迫る国交省
そもそもスカイマークの経営の深刻さが誰の目にも明らかになったのは、昨年8月14日のことだ。この日提出した2014年4~6月期の四半期報告書に「事業継続に重要な疑義がある」と明記されていたのである。この報告書によると、同社は、欧エアバスの大型旅客機A380の購入をキャンセルしたことに伴い、同社から700億円前後の違約金支払いを迫られるリスクを抱えていた。さらに、それまで自社資産としていた「エアバスへの前払い金(約250億円)」も回収できない恐れがあった。
ちなみに、スカイマークの自己資本は14年3月期末の段階で446億円しかない。違約金の支払いや、前払い金の没収が現実の問題になれば、スカイマークは一気に債務超過に転落して、経営が破綻してもおかしくなかった。
そして、昨年10月31日。スカイマークは15年3月期の業績予想を下方修正し、前期に続き最終損益が2期連続の赤字になるうえ、その赤字額が136億円(前期は18億円)と大きく膨らむとの見通しを発表した。これでは運転資金にも事欠く事態に陥ってもおかしくない。こうして、同社の再建は、時間との闘いの様相を呈していった。11月初めには、再建のパートナーとして白羽の矢を立てたマレーシアの格安航空会社(LCC)エアアジアとの資本・業務提携交渉も不調に終わった。
そうした苦境の中で、西久保社長が昨年11月21日にメディア各社に対して明らかにした再建プランは、今よりずっとシンプルかつ実現性の高いものだった。JALと業務提携して15年2月から一部の便を共同運航し、集客力を強化。当面の増収(年間80億円)に役立てるという内容だったのだ。一方、増収策をテコに、投資ファンド4社に第3者割当増資を引き受けてもらい、資本増強を行うことも検討していた。