歌手のASKAさんが8月25日、活動休止中の音楽ユニット「CHAGE and ASKA」から脱退することをオフィシャルサイトと個人ブログで発表した。
その中で、相棒だったChageさんに対して「私は、今後の彼の活動を、嘘偽りなく応援します」とエールを送りながらも、「今回の『脱退』を感じ取った彼から、彼の弁護士を通じて、『できれば、ふたりで会いたい』と、連絡がありました。そうなんだ。ずっとそうだった…。そんな大事な言葉さえ弁護士を通して伝えてきた…」と不満を漏らし、「そんな大事な言葉さえ、弁護士を経由して伝えてくるあいつとの信頼関係は、もう築けません」と断言している。
ASKAさんは「心から語り合うことができたら」とも書いており、Chageさんに不信感を抱いているようだ。この不信感の原因は一体何なのか? もちろん、「私は、相棒の『電話番号』も『メールアドレス』も知りません。彼の弁護士を通してしか、連絡の方法がありません」とASKAさんが明かしているように、背景には直接コンタクトを取るのが難しい状況があるのだろうが、それだけではないと私は思う。
というのも、ASKAさんは2014年に覚せい剤取締法違反の疑いで逮捕されているので、逮捕されるまで使用していた覚せい剤の影響が残っているのではないかと疑わずにはいられないからだ。
この逮捕について、ASKAさんは「私は社会から痛烈に非難を浴びる事件を起こしてしまいましたので、本日の発表が、全て、それに結びつけられる立場にあります」と述べているが、精神科医としての長年の臨床経験から申し上げると、結びつけざるを得ない。
猜疑心の拡大
覚せい剤を長期間使用していると、さまざまな精神症状が出現する。これは、覚せい剤の長期使用によって生じる脳障害のせいであり、その最たるものが、とめどない猜疑心の拡大だろう。
自宅にいても「誰かに見張られている」ような気になるし(注察妄想)、外出しても「あとをつけられている」ように感じる(追跡妄想)。だから、どこにいても、気が気ではなく、猜疑心が強くなり、不安と焦燥感にさいなまれる。当然、怒りっぽくなる(易怒的)。その結果、人格が変わり、疑い深く、不信感を抱きやすくなることも少なくない(人格変化)。