甘ったれるな新日本プロレス!サーカス化&世界進出を目指せ!選手を海外貸出すべし
日本でプロレスが全盛期といわれたのは1990年代のことで、テレビも複数局がオンエアし、猪木や馬場は「スポーツ選手高額納税者番付」などにも登場していた。それが没落したのは、総合格闘技界に打って出て、その最強伝説を自ら地に落としてしまったからだ。今では人気選手やチャンピオンでも年収は1000~2000万円台ほどと推定されている。プロ野球やサッカー、あるいは大相撲などの花形プロスポーツとは比べるべくもない。
ロールモデルはWWE
「売上を2020年までに100億にしなければ話になりません」(「週刊プロレス」<ベースボール・マガジン社/10月21日号>)と語ったのは、新日本プロレスリングの木谷高明オーナーである。木谷氏はカードゲームのブシロードグループの創業社長だ。同グループは年商212億円強(15年7月期)で、新日本プロレスリングを2012年1月に子会社とした。
前述のオカダ・カズチカがアメリカから凱旋帰国して、当時のIWGPチャンピオン棚橋選手に緊急挑戦して大きな話題とブーイングを浴びたのが、まさに12年1月のことだった。木谷氏が本格関与してから、新時代の幕が上がったのである。回復の立役者はここでも新経営者だった。現在では「スイーツ真壁」と異名を取り人気者となった真壁刀義選手などを筆頭に、選手をテレビタレントとしてマスコミでの露出も活発にさせている。
木谷氏が「業界一番手」として目標にしているのが、アメリカのプロレス団体WWEだ。WWEはニューヨーク株式市場に上場している公開会社で、年商5.4億ドル強(約650億円)を誇る、一大スポーツエンターテイメント企業だ。
WWEで興味深いのは、試合構成についてシナリオライターがいることを公式に認めていることだ。日本で興業を催す場合も「東京公演」としていて、選手たちは大会のことを「ビッグショー」と呼んでいる。日本のプロレスについても、「八百長かショーか」という議論は今ではなくなったといっていい。特に新日本プロレスでレフェリーだったミスター高橋が著した『流血の魔術最強の演技―すべてのプロレスはショーである』(講談社、2001年)が決定的だった。とはいえ、レスラーたちがあれだけのことをできるのはやはり大したものだ。
有料サイトで勝負
冒頭の試合を私は、インターネットの有料サイト「新日本プロレスワールド」で視聴した。「過去45年間の映像見放題」と謳っているこのサイトは月額999円だ。現在の会員数は約3万人に達したとされる。