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『ドクターX』余裕で4週連続20%台…草刈正雄に完全に食われた永山絢斗のポンコツぶりが痛々しい

文=吉川織部/ドラマウォッチャー
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『ドクターX』余裕で4週連続20%台…草刈正雄に完全に食われた永山絢斗のポンコツぶりが痛々しいの画像1『ドクターX~外科医・大門未知子~』公式サイトより

 米倉涼子主演の連続テレビドラマ『ドクターX~外科医・大門未知子~』(テレビ朝日系)の第8話が30日に放送され、平均視聴率が20.6%(関東地区、ビデオリサーチ調べ)だったことがわかった。これで4週連続20%超えという驚異的な数字をたたき出した。

 第8話は、元大臣秘書官の八雲拓哉(林家正蔵)が、厚生労働省の不正を暴くという記者会見を開いたところから始まった。彼は根治手術が不可能ながんに侵されており、正義を貫いてこの世を去ろうと決意したのだという。八雲を広告塔として利用しようと考えた東帝大学病院の蛭間院長(西田敏行)は彼を入院させ、未知子(米倉)に執刀を任せる。医師たちは正義の人を救おうと盛り上がるが、日本医師倶楽部会長・内神田(草刈正雄)から思わぬ横やりが入った。八雲に告発された人物は内神田の友人であり、余計なことをしゃべられては困るというのである。蛭間はあわてて執刀医を変更し、納得しない未知子を解雇してしまう――という展開だった。

 なんといっても視聴者に衝撃を与えたのは、誰かわからないくらいに痩せ細り、生気のない目でカメラを見据える林家正蔵の姿だったに違いない。この激痩せは役づくりのためだったらしいが、死期を間近にしながら最後の力を振り絞って世に正義を問おうとする官僚の雰囲気がよく表れていたように思う。

 ただ、いかにも現実を連想させるかのような設定は、好き嫌いの分かれるところだろう。元官僚が立場上知った不正や疑惑をその立場を離れた後になって言い立てるという構造は、今年世間を騒がせた「加計学園」問題にそっくりだ。マスコミによって八雲のあら探しが始まり、いかがわしい店に出入りしていたことが週刊誌に暴かれるというのも、加計学園問題で一時期正義の人ともてはやされた元事務次官を連想させる。

 今回のシリーズでは、初回で小池百合子都知事を連想させる女医が登場したり、蛭間が何かと「忖度」と口にしたりと、政治関連の小ネタが目立つ。テレビ朝日はドラマでも政権批判をしたいのだろうかと当初は思ったが、どうもそうでもないようだ。おそらく、『ドクターX』に特別な政治的ポリシーがあるわけではなく、政治は茶化すネタでしかないのだろう。下手に政治的思想を絡めてくるよりはよっぽどマシだと思うが、「政治や政治家を風刺しておけばかっこいい」と勘違いしたような底の浅さも感じる。

 ただ、最近の動向をドラマに取り入れようとする意欲はほめられるべきだし、今回のシリーズではそれが顕著に見られる。この第8話に絞っても、あれだけ意気軒高だった八雲が手術成功後にはすっかりおとなしくなり、不正はなかったと前言を撤回したという結末は、現実を超えるいいオチだった。命が少ないからこそ不正を暴こうとしたが、この先も生きられるんだったら下手なことは言わずに口をつぐんだほうがいい、という八雲の決断は至極真っ当で、自分に置き換えたら誰しも納得してしまうのではないだろうか。加計学園に絡めた導入はやや鼻についたが、全体の構成力はさすがだと言わざるを得ない。

 ちなみに今回は、永山絢斗演じる新米外科医の西山にスポットが当たり、西山が内神田の息子であることが判明するというドラマチックな展開もあったが、こちらは今ひとつ盛り上がりに欠けた。大きな要因は、これまでそつなく演じてきた永山が草刈と対決する場面で途端にポンコツ化してしまい、まったく緊張感のないシーンになってしまったことだ。さすがにベテランとの1対1のシーンでは経験値の差が顕著に出たということだろう。とはいえ、今シリーズでは間違いなくキーパーソンの1人になっているし、次のシリーズがあるとすれば引き続き登場する可能性もゼロではない。芸達者な俳優陣にもまれて、演技をさらに磨いてほしい。
(文=吉川織部/ドラマウォッチャー)

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