“冷やかし”が減って快適に?
有料化によってコミケ参加者が減ってしまうのではないか、という批判的な意見から、購入した品物をオークションサイトやフリマアプリに高値で出品する、いわゆる「転売屋」が減るから、むしろいいのでは、といった肯定的な意見まで、さまざまな議論が交わされている。
実際、有料化によってどのような影響が考えられるのだろうか。日経新聞WEB版に週刊コラム連載『人生を変えるマネーハック』を持つファイナンシャルプランナーであり、過去にはコミケにサークル側として10年以上参加していた経験を持つ山崎俊輔氏はこう考える。
「たしかに現在のコミケに参加費は存在しませんが、広大な会場内をまともに回るためには、マップとなるカタログがほぼ必要不可欠となります。言ってみれば、ほとんどの一般参加者はカタログ購入によって実質的に参加費を払っているわけです。ですから“無料が有料になる”というよりは、“ある意味もともと有料で、運営にかかる費用から必要な値上げが行われる”と考えたほうが、ニュアンスが近いように感じます。
参加者が減るのではないかという心配もあるようですが、有料リストバンドはカタログ購入者には関係のない話なので、減ったとしてもせいぜい数パーセント程度でしょう。むしろ、友人同士でカタログの貸し借りをしていた人たちも適正な負担を負うことになるため、参加者の平等性が高まるというメリットもあるかもしれません。もともと1日に10万人以上が動員されるイベントですから、多少減ったところで閑古鳥が鳴くこともないかと思います。むしろ“冷やかし”や観光目的の来場者がいなくなる分、混雑緩和につながるかもしれません。
たしかに誰でも参加できるよう門戸が開かれていることは大切ですが、コミケの参加者は同人誌を何十冊も購入したり、グッズを大量に購入していることを鑑みると、数百円から数千円の参加費が大きな影響を及ぼすこともないかと思います。また、参加費がいくらかはまだ発表されていませんが、現状を見る限り、学生などの若い層でも十分負担できる程度になるのではないでしょうか。
ただ逆にいうと、有料化が転売屋対策になるとは考えにくいです。参加費として数百円や数千円取られたとしても、その分転売時に値段を吊り上げればいい話ですから、転売目的の層が減るとは考えにくいのです。要するに、よくも悪くも有料化したところで、あまり大きな影響はないだろうと考えています」(山崎氏)