コミケが楽しい場であり続けるためには、参加者も努力をするべき
コミケの掲げる理念の一つに、「コミックマーケットは、すべての参加者にとって『ハレの日』であることを願い、これを継続していく」というものがある。楽しいハレの日を継続するためには、コミケ運営側だけでなく、参加者側も努力する必要があると山崎氏は述べる。
「代表的なところだと『カードキャプターさくら』の作者であるCLAMPさん、『機動戦士ガンダム00』のキャラクターデザインを担当した高河ゆんさんなどがコミケ出身ですが、コミケには新人漫画家の登竜門としての役割があります。また、プロの仕事だけだと食べていけない漫画家さんが、同人誌で副業的に稼ぐパターンもあります。ただ、私も1991年から2000年代前半あたりまでコミケにサークルとして参加し、同人誌をつくって販売していましたが、当時楽しく創作をしていたことが今の執筆活動の礎となっています。サークル出展者も、コスプレイヤーも、一般参加者も、まずは楽しむことが大事なのですだと思います。
しかし、どんなイベントであっても、一銭もかからずに開催されることはありません。コミケも多額の費用とボランティアの努力によって成り立っているイベントであって、今回の有料化もいわばやむを得ないことです。参加費を払うだけの満足感を得られないと判断するなら参加しなければいいですが、そうでなければ最低限のルールは受け入れるべきでしょう。楽しい場としてのコミケを維持していくためにも、コミケ開催にかかる負担を参加者みんなで少しずつ分け合うことが必要だと思います」(同)
リストバンドがいくらで販売されるかなど、有料化についての詳細はまだ正式には発表されていない。だが、いくら50万人以上を動員するとはいっても、その根源は同好の士の集まり。すべての参加者や関係者が笑顔でいられるイベントであってほしいものだ。
(文・取材=A4studio)