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吉田潮「だからテレビはやめられない」(12月8日)

NHK朝ドラ、なぜ2作連続ヒット?『あまちゃん』人気が『ごちそうさん』に意外な影響か

文=吉田潮
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NHK朝ドラ、なぜ2作連続ヒット?『あまちゃん』人気が『ごちそうさん』に意外な影響かの画像1『ごちそうさん』公式サイト(「NHK HP」より)

 主要なテレビ番組はほぼすべて視聴し、「週刊新潮」などに連載を持つライター・イラストレーターの吉田潮氏が、忙しいビジネスパーソンのために、観るべきテレビ番組とその“楽しみ方”をお伝えします。

 9月から放送が開始されたNHK朝の連続テレビ小説『ごちそうさん』が快進撃を続けている。超ヒット作『あまちゃん』の後続作ということで、放送前から視聴率ガタ落ちの心配をする声も多かったが、開けてみたら20%超えを連続キープ。派手な仕掛けや大物起用もなく、ごく淡々と地味に展開されていて、メディアでもそんなに取り上げられていない。それゆえに、どうしてこの視聴率を叩き出せたのか、みんながザワザワと気になり出したようである。そこで今回は、その理由を考えてみた。

 まず、最初に思い浮かんだのが「あまちゃんの余波」である。『あまちゃん』にうっかりハマった人は朝ドラを見る習慣がついてしまったという考え方もあるのだが、多分もうちょっと違う理由だろう。『あまちゃん』が空前の大ブームになった時点で、それまで見ていなくて話についていけなかった人たちが一定数いると思われるが、こうした人たちが「やばい、なんか朝ドラ、最近面白いらしい。今度は乗り遅れるな!」と『ごちそうさん』を見ているのではないだろうか。要はブームに乗り遅れることが悔しいと思う、負けず嫌いの人々が視聴率を支えているという構図だ。

 もうひとつは、昔ながらの朝ドラが好きなお年寄りの人々が、こぞって戻ってきたのかもしれない。『あまちゃん』の世界観にはさっぱりついていけなかったが、『ごちそうさん』は大正時代からスタート。「やっぱり朝ドラは昔懐かしい時代の話でないとねぇ……」という懐古主義のみなさんが、視聴率を上げているのかもしれない。開けてみたら懐古主義でもなんでもなくて、イマドキ感と女子っぽさがあふれるラブコメディだったのだが(初期はね)。

 あるいは、「食」をテーマにしたあたりが勝因のひとつなのかもしれない。しかも舞台は食道楽の聖地・大阪。NHK大阪局がつくるドラマは「食」と「人情」が最大の売りでもある。トラディショナルな洋食が出てきたり、今でいうB級グルメがたびたび登場したりで、知らぬ間に魅了されているのだ。朝に『ごちそうさん』を見て、その日のランチにオムライスやコロッケ、ビーフシチューを選んだ人は、無意識のうちに洗脳されているに違いない。私自身は無性にぬか漬けが食べたくなったけれど。なんだかんだ言っても、メシ系は強い。ウナギの頭やホルモンが出てきた日にゃあ、酒を飲みたくなるってもんだ。つまり、食い意地の張った人たちが視聴率アップに貢献しているともいえる。

●労をいとわない嫌がらせが新鮮?

 ミーハーな負けず嫌い、年寄り、食いしんぼうと揃ったところで、最大の勝因を考えてみよう。

吉田潮

吉田潮

ライター・イラストレーター。法政大学卒業後、編集プロダクション勤務を経て、2001年よりフリーランスに。「週刊新潮」(新潮社)で「TVふうーん録」を連載中。東京新聞でコラム「風向計」執筆。著書に『幸せな離婚』(生活文化出版)、『TV大人の視聴』(講談社)などがある。

Twitter:@yoshidaushio

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