遺伝子組み換え食品(および作物)に関する賛否は、それぞれ主張する人たちがおり、なかなか簡単に結論が出ることではありませんが、私自身は反対を唱えております。その理由は、現段階で遺伝子組み換え食品の安全性が確認されたとは言い難い状況だからです。またすでに問題が表面化してきている「スーパー雑草」「スーパー害虫」と呼ばれる除草剤や殺虫剤に耐性のある生物の発生などは、遺伝子組み換え技術を完璧に管理できないことの一例といえましょう。
これはほとんど報道もされなかったのであまり知られていませんが、2013年12月18日に文部科学省がドイツ系大手製薬会社の日本ベーリンガーインゲルハイムに対して厳重注意処分を下したという事件がありました。
事の発端は、この会社の神戸医薬研究所内で09年6月から13年11月までの間に計4回、遺伝子組み換えウイルスに作らせた検査試薬を使っての実験後、その遺伝子組み換えウイルスの混入が疑われる実験器具などを適切に処理せずに廃棄したという事実に対して、文科省がとった措置です。本来、これらの試薬を使った場合、使用した実験器具や廃液はウイルスを完全に死滅させる処理が必要であるにもかかわらず、この実験室ではそのまま廃棄していたというのです。それも、4年半にも及ぶ長期にわたってです。同社は、その原因を単に担当者が説明書きを見落としていたからだと説明しています。
遺伝子組み換え生物が環境に出てしまうと、生態系に多大な悪影響を与える恐れがあります。したがって、当然そこには厳重な規制がかけられています。それにもかかわらず、担当者が説明書きを見落としたというのですから、ずさんという言葉では言い表せない問題です。
遺伝子組み換え鮭の販売開始
これまで遺伝子組み換え作物を強力に推進してきたアメリカでは、その悪循環による弊害の大きさに気付いた企業が、すでに遺伝子組み換え離れを起こしているといわれています。大手食品メーカーのゼネラルミルズが、「一部のシリアルの原材料として、遺伝子組み換え作物を使わない」と宣言したのです。現段階では、すべての商品ではありません。