60代以降の人生を狂わす「骨粗しょう症」による骨折、防ぐための食事術&生活術
女性ホルモンのエストロゲンが、女性の骨の健康を保つのに大きな役割を示していることはよく知られています。更年期を過ぎ10年くらいすると、腰椎や大腿骨などの骨折が増えてきます。これにより、場合によっては長い入院を余儀なくされ、その後のQOLに重大な影響を与えることもあります。
女性における腰椎や大腿骨の骨折などは、直接的には女性ホルモンの減少が主な原因になります。エストロゲンは、小腸や腎にあるエストロゲン受容体に結合することで、小腸からのカルシウム吸収を促進し、腎からのカルシウム排泄を減少するように働き、骨粗しょう症を予防しているのです。
少し話は逸れますが、実は男性でも、女性より頻度は少ないものの、骨粗しょう症による骨折を60代以降は注意すべきです。男性の場合は、男性ホルモンであるテストステロンの減少が主な原因と考えられ、また女性より筋力もあり体も大きい男性が骨粗しょう症から骨折にいたる際、その体格や受傷機転から女性より重症化しやすいといわれています。高齢化が進み、1990年から2050年にかけて、股関節骨折は男性で310%、女性で240%増加する可能性があるとの指摘もなされています。女性だけでなく、中年期以降の男性も骨の健康について考える必要があります。
ビタミンDと骨の健康
ホルモンの減少による骨粗しょう症の予防には、カルシウムを摂って骨量を保つことが大切、というのはよく知られています。骨量(骨密度)だけでなく、骨量をセメントとすれば、鉄筋ともいうべき骨の強さを生む骨質を良好に保つことも必要です。
更年期の骨折の一部は、骨密度が正常の人にも起こり、これは骨質の劣化が原因です。そのため、骨量を保つカルシウムだけでなく、骨質を良好に保つためのコラーゲンの原料になるたんぱく質をしっかり摂ることも大切になってきます。ちなみに、カフェインは1日45mg以上摂取すると、カルシウム喪失のリスクが高まる可能性があるともいわれていますので、骨の健康を考えた場合、コーヒーは1日2杯くらいまでにしておくことがおすすめです。