新米の季節になりました。白いごはんには、塩分の効いたおかずがよく合います。それは徳川時代から続く、日本人のDNAとでもいうのでしょうか。
当時、大人1人の食料支給の基準となったのは、1日5合(どんぶり6杯前後)です。これだけのごはんを、「味噌汁や漬け物・野菜の煮物」など、少しのおかずで食べるには、どうしても調味料の強い塩分が必要でした。
しかも、庶民にとって米はとても高価でした。日本銀行金融研究所貨幣博物館「お金の豆知識」より精白米換算で試算をしてみると、長屋に住む家族4人の食費は、現代に直すと米代だけで20万円近くもかかったのです。一方収入はというと、高給取りの代表といわれた大工でさえ40万円前後です。しょうゆ・みそ・塩などの調味料や魚・野菜も加えると、エンゲル係数は確実に50%を超えたはずです。
ちなみに栄養的な側面からこれを見ると、米だけの摂取エネルギーは約2,700kcal、たんぱく質は53g。男性がl日に必要なたんぱく質の76%くらいを、大量の米から摂取していたわけです。
つまり当時の町人にとって、「白いごはんに塩辛いおかず」は最高の贅沢で、世帯主の稼ぎの良さを誇るシンボルだったわけです。こうした価値観や生活満足度が味覚に反映され、食文化として現在まで続いてきたのでしょう。
白いごはんに合う香味しょうゆ
今では健康上の理由からも薄味が勧められ、肉や魚・油脂などの摂取もぐんと増えたので、ごはんの量はそれほど必要がなくなりました。しかし、新米の季節には白いご飯を存分に味わってみたいものです。
お勧めは、薬味をたっぷり使った香味しょうゆです。体を温めるねぎとしょうががたっぷり使われています。時間がたつほどに味がなじむので、冷蔵庫で3週間ほど保存できます。野菜炒めや豚肉のしょうが焼きなど、多くの料理に使えますので、ひとり暮らしの方の作り置きにも最適でしょう。
香味しょうゆ
【材料:つくりやすい分量】
長ねぎ…1本
しょうが…30g
しょうゆ…3/4カップ
【つくり方】
1.長ねぎ、しょうがはみじん切りにする。
2.器に1としょうゆを入れて混ぜ合わせる。