2012年12月、国立がん研究センターは、「清涼飲料水を毎日飲む女性は、ほとんど飲まない女性と比べて脳梗塞になる危険性が1.8倍高い」との研究報告を発表しました。これは1990年にスタートした大阪大学(磯博康教授グループ)との共同研究で、スタート時に40~59歳の男女3万9786人を18年間追跡調査しています。
対象者を、甘味料が入った清涼飲料水約250ml(コップ1杯強)を飲む回数によって「ほとんど飲まない」「週に1~2回」「同3~4回」「ほぼ毎日飲む」の4グループに分類、脳梗塞と脳卒中、虚血性心疾患の関連性について調べました。
その結果、脳梗塞において、「ほぼ毎日飲む」と回答した女性は、「ほとんど飲まない」人に比べ、発症リスクが1.83倍高いことがわかりました。研究班は「女性は小柄で筋肉の量が少なく、血糖値や中性脂肪が上がりやすいため、炭水化物や糖分を含む清涼飲料水の影響を受けやすいのではないか」と、分析しています。
男性では脳梗塞のリスクが高まるという傾向は見られませんでした。しかし、男性だからといって安心してはいけません。13年5月19日付日本経済新聞では、「カロリーを抑えたダイエット用の清涼飲料や炭酸飲料を週に250ml以上飲む中年男性は、ほとんど飲まない男性に比べ、2型糖尿病を発症する危険性が1.7倍になる」との金沢医科大学の研究報告が報じられています。
記事によると、研究は櫻井勝准教授(公衆衛生学)らが、03年から35~55歳の男性2037人を追跡調査して行われました。10年までに、そのうち170人が2型糖尿病に罹りましたが、週に250ml以上飲む人は、飲まない人より発症率が1.7倍高いという結果になっています。櫻井教授によると、清涼飲料に含まれる人工甘味料が甘いものへの食欲を増進させている可能性があるということです。
また、数多ある清涼飲料水の中でも、ビタミンC(アスコルビン酸)と安息香酸ナトリウムが併記されている製品は絶対に飲んではいけません。日本を含め各国で、ベンゼンという強烈な発がん物質が生成されると確認されています。
(文=郡司和夫/食品ジャーナリスト)