太らない主食の選び方…なぜ「ごはん」より「パスタ」「そば」のほうが太りにくい?
最近のたんぱく質ブームとともに、糖質制限をする人も以前より多くなりました。糖質は、ごはんや麺類だけでなく、果物やにんじん、じゃがいもなどの野菜にも含まれています。糖質制限をしている人の多くは、そのなかでも主食を控えるということを実践しているようです。
実際に、厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」という、日本人が1日当たりどんな栄養素をどのくらい摂るべきかという基準を示した指標でも、炭水化物(糖質)のエネルギーが全体に占める割合は以前は50%以上70%未満でしたが、現在は50%以上65%未満と低くなっています。
この5%の差は、一般の方にとってはピンとこないかもしれませんが、例えば30~40代の男性だと約150kal、つまり少し小さめのおにぎり1個分にもなります。毎日食べていた主食のおにぎり1個分減らすというのは、結構大きな変化だと思っていただけるかと思います。ですから国の基準で食事を見直したら、これまで主食を多めに食べてきた人は、少し控えたほうがよいということになります。
栄養素の量を比較
では、主食として何を食べればよいのでしょうか。ごはん(白米)、うどん、そば、パスタ、ラーメン、パンで考えてみましょう。今回は麺類に関しては、汁やソースはなしで、麺だけで比較します。パンはたくさん種類がありますが、食パンでの比較になります。
これは、各食品100g当たりに含まれている栄養素です。この表を使って、自分がいつも食べている量で比較するのもアリですが、平均的な1食分で比較すると下記のようになります。
これが本来の栄養素の比較だと思ってください。
糖質の量が気になるならば、ごはん1杯と食パン2枚が同量なので、どちらかといえばパンのほうが少ないことがわかります。逆に、パスタの場合は糖質が多くなります。
主食を選ぶときには、糖質だけをみるのではなく、それ以外の栄養素もチェックしましょう。そうすると、そばとパスタは食物繊維が多いことがわかりますが、食物繊維が多いと血糖値の上昇を緩やかにするため、実は太りにくい主食といえるのです。
さらに、そばとパスタは、皮膚や筋肉、骨など身体をつくるたんぱく質が多いこともわかります。ですから、そばとパスタは太りにくく、さらには身体をつくる栄養素が摂りやすい主食なのです。
ごはんよりチャーハンのほうが血糖値が上がりにくい?
ちなみに、パスタがほかの麺とこれだけ栄養価が違うのはなぜか、ご存知ですか?
これは小麦粉の違いです。うどんなどは白く、パスタは黄色っぽい色をしていますが、パスタの小麦粉はデュラム小麦という種類です。また、たんぱく質だけならば、ラーメンも多く摂れます。
以上をふまえて主食の摂り方を考えると、例えば筋トレなどの運動をして、身体をひきしめたいのならば、うどんよりもパスタやそば、次にラーメンという順で選択すれば良いわけです。ちなみに、パスタとそばには、エネルギーとなる糖質を効率よく使うためのビタミンB1も比較的多く含まれています。よくアスリートが試合前にパスタを食べていますが、これは糖質とビタミンB1の補給にはぴったりなわけです。
ごはん1杯を食べるよりは、食パンを食べたほうがエネルギーや糖質の摂取を抑えられます。パンが太るといわれているのは、ジャムやはちみつ、バターなどを塗ってしまうからですが、もちろん使う量はコントロールしたいもの。ちなみに食パンはバターなどの脂質を使ってつくられているため、使わずにつくられるバケットなどよりも血糖値の上昇は抑えられます。
そう考えれば、単純に白いごはんよりは、チャーハンのほうが血糖値が上がりにくいことがわかります。もちろん、量を食べ過ぎればエネルギー過多になるので要注意がです。
いかがでしょうか。これらから主食を選ぶときに、今回紹介した情報を、ぜひ参考にしていただければと思います。
(文=川端理香/管理栄養士)