酵素ドリンクダイエット
以前、ダイエットに励む人たちの間でトレンドとなった「酵素ダイエット」。たんぱく質の一種であり、消化や代謝にかかわる物質の酵素を、ドリンクやサプリで摂取して代謝を上げるというダイエット法だ。
しかし、酵素の原料であるたんぱく質は、口から摂取しても、調理での加熱や胃酸で「失活(化学物質などの活性が失われ、反応を起こさなくなること)」してしまうそうだ。
また、酵素ドリンクをいくら飲んでも体内ではアミノ酸に分解されてしまうため、消化酵素として再生される保証もないという。つまり、効果のほどはきわめて怪しいのである。
ココナッツオイルダイエット
ハリウッドセレブをはじめ、世界中の女性の間で、スーパーフードを用いたダイエットが流行している。スーパーフードとは、日本スーパーフード協会によると「栄養バランスに優れ、一般的な食品より栄養価が高い食品、またはある一部の栄養・健康成分が突出して多く含まれる食品」と定義されているものだ。
そして、そのひとつがココナッツオイルであり、ココナッツオイルを1日3~4杯、コーヒーなどの飲み物に入れて飲んだり、食べ物に塗ったり、炒め物に使うことでやせられるというのが「ココナッツオイルダイエット」だ。
確かに、ココナッツオイルは脂肪燃焼効果を高めるケトン体の生成を促進する中鎖脂肪酸のため、摂取しても太りにくいとされている。だが、いくら太りにくいといっても脂肪であることに変わりはない。当然、食べすぎると肥満の原因になるようだ。
アサイーダイエット
南米・アマゾン熱帯雨林に育つヤシ科植物のアサイーも、スーパーフードのひとつとされ、セレブやアスリートなど健康志向の人たちの間で人気が高い。アサイーは栄養素を多く含み、抗酸化成分が脂肪燃焼に良いとされているが、いくら抗酸化成分が含まれていても、それだけでやせることはないという。
そもそも、アサイーを摂る際は、ヨーグルトやスムージーに混ぜる方法が多い。つまり、冷やしたり甘くしたりするわけだが、それによって体を冷やして代謝を下げてしまう上、砂糖を加えることで血糖コントロールができなくなるリスクもある。温かいスープと一緒に食べるなどの工夫をしない限り、ただアサイーを摂っても意味がないという。
巷で人気になり、「効果抜群!」と喧伝されてきたダイエット法も、管理栄養士の観点から見れば、これだけの落とし穴が存在するということだ。ダイエットは、「やせたい」と思うあまり、つい過度になりがちだが、いくらやせても健康に悪影響を与えてしまっては意味がない。実践する際は、バランスを考えて取り組むべきだろう。
(文=青柳直弥/清談社)