わが国の少子高齢化に伴い、要介護者と認知症患者が増加している。2012年の厚生労働省調査によると、現在、認知症患者が約462万人、軽度認知障害の患者が400万人いるとされ、25年には認知症患者は700万人を超えると予想されている。
昨年5月には、国民的アニメ『ドラえもん』(テレビ朝日系)のドラえもん役でおなじみの声優・大山のぶ代氏が認知症であることが明らかになり、世間に衝撃を与えた。
10月には、大山氏の夫・砂川啓介氏が『娘になった妻、のぶ代へ 大山のぶ代「認知症」介護日記』(双葉社)を出版、78歳の砂川氏が82歳の大山氏を介護する「老老介護」の実態も話題になった。
「認知症患者と、どう向き合うか」は家族にとって大きな課題のひとつだ。特に、介護現場において患者が「暴力的になる」「情緒が不安定になる」といった病状の深刻化は防ぎたい。
そこで、認知症ケアに詳しい一般社団法人「日本認知症コミュニケーション協議会」の渡辺光子理事長に、認知症の人との正しい付き合い方について聞いた。
認知症の原因となる病気の種類は、50から100通りあるといわれる!
認知症には、すべてを忘れてしまう「記憶障害」、的確な判断ができない「判断力障害」、物事を計画的に進めることができない「実行機能障害」、時間・場所・人物を確認できなくなる「見当識障害」など、さまざまな障害が起こる。それに伴い、徘徊や帰宅願望、物とられ妄想、意欲の低下などの周辺症状が起こるといわれている。
「認知症の人とコミュニケーションを取るためには、相手の好きなこと、生き方など、その人自身をよく知ること、理解することがとても大事です。それが良好な関係を築くために必要です。さらに、認知症という病気をよく知らないまま、誤った認識で接することは、暴力行為などにつながり、認知症の人にとっても家族にとっても、良い関係を築くことが難しくなります」(渡辺理事長)
認知症の症状の特徴、行動はそれぞれ異なるため、周囲は混乱してしまう。また、「家族やケアに当たる専門職が不適切な接し方をすることで、症状をさらに悪化させることになります。逆に、対応が良ければ生活の改善につながるのです」と渡辺理事長は指摘する。
そこで、特徴的な認知症の症状や行動を教えてもらった。