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大野智「医療・健康情報のウソ」

食品添加物や残留農薬は本当に危険なのか? 横行するリスク過大視&認知バイアスの罪

文=大野智/医師、大阪大学大学院医学系研究科統合医療学寄付講座准教授

・リスクが過大視されるケース

(1)意図せずに受ける(例:汚染への暴露)
(2)不公平な分配(ある人には利益、ある人には害)
(3)個人的な予防措置で避けられない
(4)馴染みがない新規の原因から発生
(5)天然より人工的な原因から発生
(6)潜伏して不可逆的な損害を引き起こす(暴露後、何年も経過してから病気を発症)
(7)子供、妊婦、将来世代に害をもたらす
(8)死、病気、怪我などのおそれがある
(9)被害者が特定できるような損害
(10)科学的に十分に解明されていない
(11)信頼できる複数の情報源から矛盾する報告が出ている

 食品添加物に限らず、メディアなどでよく騒がれる「残留農薬」「ダイオキシン」「放射性物質」「遺伝子組み換え食品」などは、上記の「11のケース」に多くが合致しています。

「人は感情の生き物である」

 誰の言葉であるかは忘れてしまいましたが、物事に対する解釈や善し悪しの評価・判断をくだす際に、感情の影響は決して無視できません。「理屈ではわかっているけれども、納得できない」ということは誰しも経験があると思います。

 ですが、感情に振り回されてしまう事態に陥ってしまうのは考えものです。ありもしないことをいろいろと心配しすぎる「杞憂(きゆう)」という中国の故事にちなんだ言葉もあります。

リスクを数値で正確に知る

 ただ、「食品添加物」「残留農薬」「ダイオキシン」「放射性物質」「遺伝子組み換え食品」などに対して、不安な気持ちや恐怖心を持つことを否定しているわけではありません。大切なことは、まずリスクを数値で正確に知ることです。ほかのリスクと比較することも重要です。

 その手間を惜しみ、ほぼゼロに近いリスクに対して必要以上に不安や恐怖を感じてしまった結果、ベネフィットのことを無視してしまったり、理性的な判断ができなくなってしまったりすることを避けてもらえたらと思います。

 そしてこれは、リスクを国民に伝えるメディアの方たちにも、記事を書くときに注意してもらえたらと思います。

 世の中や身の回りのリスクについて考えるとき、自分自身の解釈や判断が、もしかしたら「11のケース」の影響を受けていないかどうか、参考にしてみてもらえたら幸いです。
(文=大野智/医師、大阪大学大学院医学系研究科統合医療学寄付講座准教授)

大野智/医師、大阪大学大学院医学系研究科統合医療学寄付講座准教授

大野智/医師、大阪大学大学院医学系研究科統合医療学寄付講座准教授

大阪大学大学院医学系研究科 統合医療学寄付講座 寄付講座准教授

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