このように栄養素は独立して働いているわけではなく、共同作業をしているため、たったひとつでも栄養素が不足すると全体の栄養効率が下がります。あるいは、脂質のようにとりすぎると健康に問題が生じることもあります。
サプリメントと食事の根本的な違い
では、サプリメントや健康補助食品での代用というのはどうでしょうか。
サプリメントは、特定の栄養素が簡単にとれ、しかもカロリーの心配もいらないので手軽に利用している人も多いでしょう。しかし、その簡便という利点ゆえに、適量を超えやすいという心配や満足度への懸念があります。
たとえば、脂溶性ビタミンのビタミンA、ビタミンD、ビタミンEには、耐容上限量が設定されています。そのため用量、用法を守らないと過剰症をおこす場合があります。また、サプリメントは、食事と異なりおいしさを味わうことができないため、心の満足度が高いとはいえないでしょう。
その一方で、食事はどうでしょうか。栄養素の摂取面では、過剰症の心配をする必要がほとんどありません。食事のもつ重要性は、おいしいものを食べるという行為にあり、人生における大きな楽しみにもなり、生き甲斐にもなりえます。それが、栄養のバランスのとれた食事であれば、なおさらその恩恵を受けるでしょう。
栄養のバランスのとれた食事を簡単にとる方法
前述したようにカラダに必要な栄養素はわかっているだけで50種類以上、これから栄養学の研究が進み、さらに食品に含まれるカラダに必要な栄養素が発見される可能性があります。栄養のバランスのとれた食事を簡単にとる方法は、毎食、主食、主菜、副菜といった栄養面で特徴が異なる料理を組み合わせて食事をすることです。人参にはどの栄養素が含まれているか、卵にはどの栄養素が含まれていないかなど、食品に含まれる栄養素を気にして食事をする必要はありません。そんなことばかり気にしながら食事をすると、ストレスになり味気ないものになります。
主食、主菜、副菜の3品が一食の食事に揃っていれば、栄養のバランスは基本的にとれます。この基本スタイルを意識すれば、食事をつくるときも、外食でも、コンビニでも栄養バランスがとれているかどうかチェックが可能です。