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南清貴「すぐにできる、正しい食、間違った食」

異常なクリスマスチキンの習慣、日本だけ?大量摂取は危険?ホルモン剤漬けで不健康な鶏

文=南清貴/フードプロデューサー、一般社団法人日本オーガニックレストラン協会代表理事

生食は食中毒の危険大

 しかし、その鶏肉の生産には、大きな疑問がつきまといます。これだけの消費量を支えるためには、大量に鶏肉を生産できる体制が組まれなければなりません。その大量生産を可能にしているのは、品種改良と化学薬品です。以前は誕生から出荷まで4~5カ月を要したのですが、最近はなんと1カ月半(6週間)で体重が3kg近くまで成長するようになり、出荷されています。

 飼い方も、いわゆる「密飼い」という状態で、病気になる確率も高いためエサには抗生物質が混ぜられています。成長を促進するためのホルモン剤も投与されています。さらに、効率を上げるために、人工的な光を当てることで、わざと鶏の生体サイクルを狂わせて食欲を増進させるということも行っています。狭い鶏舎に閉じ込められているため、ほとんど運動ができず、ブクブクと太って不健康な状態になってしまいます。太りすぎて自分の体重を支え切れない鶏もいるそうです。

 またこれはアメリカのデータですが、スーパーマーケットなどで販売されている鶏肉の83%がカンピロバクター菌や、サルモネラ菌に汚染されているというのです。日本では、そんなことは起きていないと信じたいですが、どちらも激しい食中毒を起こす菌なので、鶏肉や卵を食べる場合は、安全性が確認できているもの以外は十分に加熱する必要があります。

 ちなみに卵を生のまま食べるのも、世界広しといえども日本人だけです。外国の方からみると気持ち悪いそうです。とはいえ、筆者も卵かけごはんや、たまのすき焼きの際には生卵につけて食べます。親子丼の中央に生の卵黄をのせるのも大好きです。そのように、生卵を好む人が多いので、日本の卵は基本的に殺菌してありますが、外国では通常は殺菌されていないので、海外旅行などの際には間違っても生卵を食べるようなことはしないように気をつけてください。食中毒になることもあり得ます。

 最近は、海外から輸入される鶏肉も増えてきました。アメリカをはじめとして、ブラジル、中国、タイなど、さまざまな国から鶏肉が輸入されており、そのほとんどが外食産業やコンビニエンスストアの弁当など「中食」の食材として使われています。

南清貴

南清貴

フードプロデューサー、一般社団法人日本オーガニックレストラン協会
代表理事。舞台演出の勉強の一環として整体を学んだことをきっかけに、体と食の関係の重要さに気づき、栄養学を徹底的に学ぶ。1995年、渋谷区代々木上原にオーガニックレストランの草分け「キヨズキッチン」を開業。2005年より「ナチュラルエイジング」というキーワードを打ち立て、全国のレストラン、カフェ、デリカテッセンなどの業態開発、企業内社員食堂や、クリニック、ホテル、スパなどのフードメニュー開発、講演活動などに力を注ぐ。最新の栄養学を料理の中心に据え、自然食やマクロビオティックとは一線を画した新しいタイプの創作料理を考案・提供し、業界やマスコミからも注目を浴びる。親しみある人柄に、著名人やモデル、医師、経営者などのファンも多い。

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