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南清貴「すぐにできる、正しい食、間違った食」

異常なクリスマスチキンの習慣、日本だけ?大量摂取は危険?ホルモン剤漬けで不健康な鶏

文=南清貴/フードプロデューサー、一般社団法人日本オーガニックレストラン協会代表理事
異常なクリスマスチキンの習慣、日本だけ?大量摂取は危険?ホルモン剤漬けで不健康な鶏の画像1「Thinkstock」より

 11月以降、日本中どこに行っても「クリスマス」一辺倒です。「日本人にはこんなにもクリスチャンが多かったのか」と、皮肉な思いを抱くのは筆者だけでしょうか。

 さらに、その浮かれ具合を助長しているのがチキンの消費量です。年間を通してもっとも多くチキンが消費されるのは、いうまでもなくこのクリスマスの時季です。そしてクリスマスにチキンを食べる習慣がある国は、世界でも珍しいという指摘もあります。しかも、そのなかにクリスチャンは多くないはず。何がなんだかわからない状態ですが、この習慣をつくりだしたのは、アメリカから来た某洋風から揚げチェーンです。国全体がまんまと策略にひっかかっております。

異常なクリスマスチキンの習慣、日本だけ?大量摂取は危険?ホルモン剤漬けで不健康な鶏の画像2

 年間を通して、日本中で一番鶏肉を消費している都市は、福岡市です。続いて熊本市、広島市、大分市、鹿児島市の順。こうしてみると、圧倒的に九州の都市が多いですね。筑前煮(九州では「がめ煮」といいますが)や、水炊きをよく食べるからでしょうか。ちなみに、鶏肉生産量全国第1位は鹿児島県、第2位は宮崎県と、やはり九州勢が強いです。

 鶏のから揚げを考案したのは、東京・銀座の三笠会館の前身である「食堂・三笠」の料理長だといわれていますが、から揚げがヒットしたのは大分県の中津市や宇佐市のようです。これらの市では、今でもから揚げ専門店がひしめき合っているということですから、今やもうから揚げが地元に定着した感があります。大分には、鶏肉の天ぷら「とり天」もありますし、宮崎には炭火で黒く焼きあげる「地鶏焼き」という名物料理もあります。こうしてみると、九州での鶏肉の消費量が多いこともうなずけます。

 日本全体でも、鶏肉の消費量は伸びています。1世帯当たりの鶏肉の年間消費量は、2004年には10.849kgだったのですが、14年には15.493kgになっていますから、10年間で約4.6kgも増えたことになります。理由としては、鶏肉が牛肉や豚肉に比べてヘルシーであるという認識が広まったことと、なんといってもほかの肉より価格が安いということもあるでしょう。100g当たりの単価でいうと、牛肉が約320円、豚肉が約140円であるのに対し、鶏肉は約94円と格段に安いです。家計が厳しくなっているなか、食費にもなるべくお金をかけないようにするには、牛豚肉より鶏肉と考える方が多いのかもしれません。

南清貴

南清貴

フードプロデューサー、一般社団法人日本オーガニックレストラン協会
代表理事。舞台演出の勉強の一環として整体を学んだことをきっかけに、体と食の関係の重要さに気づき、栄養学を徹底的に学ぶ。1995年、渋谷区代々木上原にオーガニックレストランの草分け「キヨズキッチン」を開業。2005年より「ナチュラルエイジング」というキーワードを打ち立て、全国のレストラン、カフェ、デリカテッセンなどの業態開発、企業内社員食堂や、クリニック、ホテル、スパなどのフードメニュー開発、講演活動などに力を注ぐ。最新の栄養学を料理の中心に据え、自然食やマクロビオティックとは一線を画した新しいタイプの創作料理を考案・提供し、業界やマスコミからも注目を浴びる。親しみある人柄に、著名人やモデル、医師、経営者などのファンも多い。

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