「家キャン」は本当に流行っているのか。インターネット上で、そんな疑問の声が上がりつつある。発端はNHK NEWS WEBが27日、記事『コロナ禍で「家キャン」人気 火災など事故に注意を!』を配信したことだった。同記事によると、「新型コロナウイルスの影響で自宅でバーベキューなどをする人が増えているとみられることから、NITE=製品評価技術基盤機構は、キャンプ用品を使用する際には火災などの事故に注意するよう呼びかけています」という。つまり、自宅でキャンプ気分を味わうことを「家キャン」と呼称するらしい。
同記事では「東京にあるアウトドア用品店では、卓上サイズの小型グリルや自宅でも使える組み立てが簡単なテントなど、小型のキャンプ用品の売り上げが伸びています。特にバーベキュー用品が売れ筋で、今月の売り上げは、すでに去年の同じ月の1.8倍に増えているということです」と述べられている。つまり、家族や知人を集めて、室内やベランダ、庭などでバーベキューをしてキャンプ気分を味わうということらしい。しかし、それは「おうち焼き肉」と何が違うのだろうか。
この報道に対してTwitter上では以下のような疑問の声も上がっている。
「家キャンってキャン要らんやん、ただの家やん」(原文ママ、以下同)
「そもそも家でキャンプをしたいという発想が分からない そんな自分も田舎者」
「新しい言葉を聞くとどこかで使ってみたくなるのが、NHKとかマスコミさんの習性。『家キャン』ねぇ(ダサッ)。 とりあえず近所迷惑だからベランダで臭いや煙の出る行為は常識的にやめましょうよ。まぁ、常識が通じない(常識の認識が違う)人には無意味ですが」
「人が集まるんだったら、キャンプ場でやろうが家でやろうが大して変わりない気もするのだが…結局、感染よりも『人目』だけを気にする村社会ニッポン」
「『家キャン』という言葉は聞いたことがない」
実際に「家キャン」は流行っているのか。千葉県内のホームセンターの関係者は次のように語る。
「『家キャン』という言葉は聞いたことがありませんが、確かに今年はキャンプ用携帯コンロや小型バーベキュー用のグリルなどが昨年よりは出ている印象ですね。バーベキュー用品というのは1回購入されると、数年は買い替えることがない商品です。なので、以前から頻繁にキャンプやバーベキューをやられていたお客様というより、今回の事態になって初めてお買い求めになられる方が多いという印象です。
アウトドア用品は基本的に実用性を重視したつくりになっていて、火がつきにくいような場所でも、確実に火を起こし、火力を安定させることができるようにつくられています。コンロはもちろん、着火剤などもそうです。家庭用コンロと同じ感覚だと、思わぬ事故になることがあります」
どうやら、これまではキャンプやアウトドアに興味がなかった層が、購入しているようだ。定期的にキャンプをしている愛好者なら「コンロやかまどの周りに可燃物を置かない」「バケツに水を用意する」などの基本的なルールを失念することはないだろう。だが、キャンプ初心者ともなるとやはり特別に注意を呼び掛ける必要があるのかもしれない。
千葉県内のキャンプ場関係者は次のように語る。
「火の取り扱いには、すべての利用者に注意を促します。ただ基本的に敷地内のキャンプサイトの可燃物は事前に取り除いた上で、お客様にご利用いただいています。お客様が余計な心配をしなくていいように、管理させていただいています。
最近流行っているというご自宅でバーベキューをされる時は、もともと一般住居がそうした特別な管理がなされていない場所であることを十分理解していただかないと危ないです。また火の始末と同じように、密閉した空間ですと煙が部屋に充満して危険なことになります。かといって、家の外に煙を流すようにすればご近所からクレームが来ることや、火事と間違われて消防に通報なんてこともありうるので、注意した方がいいでしょう」
まさに「焼肉焼いても、家焼くな」だ。
(文=編集部)