サッカーゲームといえば「ウイイレ」「FIFA」シリーズが鉄板タイトル。しかしこの2大タイトルが強すぎるためか、事実上EA(FIFAシリーズ)とコナミ(ウイニングイレブンシリーズ)しか、このジャンルをゲーム化しなくなってしまった。
そんななか、久々に登場した新作サッカーゲームが『キャプテン翼 RISE OF NEW CHAMPIONS』だ。往年の人気漫画が原作で、もちろんリリースしたメーカーはバンダイナムコ! この時点で、いろいろとモヤモヤしたものを感じる人も多いかもしれない。というのも、「週刊少年ジャンプの人気漫画が原作」のゲームは玉石混合……。というよりも、はっきり言って「クソゲー」の割合が高い。特にファミコン時代にバンダイ(当時)が発売したタイトルには酷いものが多かった。
この『キャプテン翼 RISE OF NEW CHAMPIONS』も、サッカーゲームとして見るとかなりメチャクチャ。しかし往年のファンならば、絶対にグッとくる要素が満載で、キャラゲーとしてかなりオススメの仕上がりとなっている。
「キャプ翼」の再現度は一見の価値アリ!
まず特筆すべきは、そのグラフィック。トゥーンレンダリングという技法でアニメ絵っぽいCGをうまく再現している。かなり動きもよく、ダイナミックなカメラワーク、派手な必殺技のエフェクトと相まって、ベタな表現だが「まるでテレビアニメを見ているかのよう」な気分にひたることができる。
また原作の中学生編を追体験できる「EPISODE OF TSUBASA」に加え、自分が物語の登場人物になって戦う「EPISODE OF NEW HERO」シナリオも用意されており、自分だけのストーリーを組み立てられる点も面白い。
その一方で、操作にはかなり戸惑う部分も。パッと見た感じは一般的なサッカーゲームに近いのだが、選手の必殺技で試合が進むので、戦略性はかなり希薄。どんなラフプレイでもファウルにならないなど、ルール面に至ってはまったく再現されていない。
こうしたキャラゲーとしての割り切りを受け入れられるかで、『キャプテン翼 RISE OF NEW CHAMPIONS』の面白さは大きく変わってくるだろう。実際、Amazonの評価も星1つと星5つが両者跳び抜けて多く、賛否両論分かれる状態となっている。
今後のシリーズ化に期待したい!
「キャプテン翼」のゲーム化は、これが初めてではない。かつてテクモというメーカーからファミコンでリリースされて好評を博し、スーパーファミコン版も含めシリーズ5作が作られるヒット作となった――。というエピソードは、「キャプ翼」ファンには説明の必要もないだろう。
『キャプテン翼 RISE OF NEW CHAMPIONS』には、あのアドベンチャーゲームのようなシンプルな操作システムがないため、かつてのファンにもやや取っつきがたいのが正直なところ。だがビジュアル面では大幅な進化を遂げており、生き生きと動くキャラを見るためだけに、ついプレイし続けてしまうプレイヤーも多いはずだ。
ぜひ今後、「ワールドユース編」の次回作をはじめ、オリジナルストーリーにも挑戦してもらいたいところ。テクモ版の「キャプテン翼」では、シリーズが進むにつれ原作にないシナリオやキャラ、分岐するエンディングなど物語性がより高められていき、これがファンにも好評を博した。
バンダイナムコの開発陣にも、当時のテクモスタッフ並みの「原作愛」を期待したい!
(文=後藤将之/ライター)