100円ショップブランドの「ダイソー」。1972年に家庭用品の販売を目的として創業し、1998年に大創産業として法人化して以降、バブル崩壊後の節約需要をバッチリとらえ、100円ショップ業界の最大手として君臨するに至った。
そんなダイソー商品は、安さのみならず、そのデザインや使い勝手も飛躍的に向上しており、新商品が発売されるたびにネットには大きな反響が寄せられているのだ。実際、その人気は確かなようで、来客数は年間約10億人を記録しており、2020年の2月末時点で直営店が2646店舗、代理店が847店舗、海外にも26の国と地域で2248店舗を有しているのである。
破竹の勢いが続くダイソーの商品だが、残念ながら全部が全部、良品とは限らない。なかには使ってみると疑問符が浮かんでしまうものもちらほら。今回「Business Journal 買うべき・買ってはいけない調査班」がそんなグッズを独自調査。「この秋、買ってはいけないダイソーの残念グッズ5選」を選び出した。
冷却スプレー スーパークール(無香料)150ml/110円(税込、以下同)
涼しくなってきたとはいえ、まだまだ残暑を感じるこの季節。出かけるときに冷感対策グッズを一つくらいカバンに忍ばせておくのも手だが、そんなときにこのダイソーの「冷却スプレー スーパークール(無香料)150ml」はあまりオススメできない。
服の上から2秒ほど吹き付けることで、冷感成分が服に染み込み、肌触りをひんやりさせてくれるのが、ダイソーオリジナルのこの冷感スプレーは、値段が110円とリーズナブルでお得に見えるが、とある致命的な欠点があるのだ。
それは匂い。ラベルには無香料と記載されているが、実際に使ってみると驚くことにどこか「納豆」を思わせる香りがするのである。もちろん、そう感じない人もいるだろうが、実際にSNS上では「ちょっと臭い」という声があがっている。爽やかになろうとして「納豆」の匂いがしてしまうのは、困ってしまうだろう。
シャッター付き自撮り棒/330円
秋の行楽シーズン、観光名所やフォトスポットを訪れて、思い出に残る記念写真を撮るのも楽しいものだが、そんなときにこのダイソーの「シャッター付き自撮り棒」は避けたほうが無難だろう。
この自撮り棒、ABS樹脂製の先端部分にスマホを装着し、そこから伸びているケーブルの先端をスマホのイヤホンジャックに挿入。その後、伸縮性のスチール部分を伸ばして手元のスイッチを押せば、手元から離れても写真が撮影できるというもの。
実際便利な商品なのだが、いかんともしがたい難点がある。それは昨今のスマホがイヤホンジャックを廃止している機種が増えてきているということ。おまけにネット上では、スマホのOSを更新すると、スイッチが反応しなくなるといった事例も報告されており、お手軽価格とはいえ、無用の長物になるリスクの高い商品といえるだろう。
豆腐さいの目カットプレート/110円
新型コロナウイルスによる自粛生活で、自炊する機会が増えた人も多いことだろう。とりわけ、肌寒くなってきた秋口には、豆腐のお味噌汁でホッと温まるなんていうのもオツなものだが、そんな調理シーンで活躍するという触れ込みなのが本商品だ。
ABS樹脂製の本品は、豆腐一丁分ほどのサイズで、四角い枠の中に横軸のプレートが5本走っている。この上に豆腐を乗せて切ったのち、枠の一端についている縦軸4本、横軸1本のプレートで豆腐をスライドさせれば、あっという間にさいの目切りにできるという。
だが、考えてみてほしい。自炊は簡単に調理できるのと同時に、簡単に片付けられるのも重要。その視点に立ったとき、豆腐のためだけにこんな複雑で洗いにくい器具を用意するのは、片付けを長引かせるだけなのではないだろうか。
LEDキャンドルライト/110円
秋に合った部屋の模様替えを考え、涼しく風流な“秋の夜長”を心地よく演出してくれるインテリアが欲しくなる人もいることだろう。だが、そんな場面でこのダイソーの「LEDキャンドルライト」を買うのは少し考えものかもしれない。
本品は、ろうそくの炎をかたどったライト部分がチラチラと明滅し、まるでキャンドルをつけているような気分にさせてくれるというものだ。
だが、実際手に取ってみると、本体部分がいかにもプラスチックという印象で、どうにもつくりが安っぽく感じてしまうのである。薄明かりの中でつける場面も多い商品ゆえに、明かりの方向に目がいってしまうが、そうすると嫌でもつくりの陳腐さが気になってしまうかもしれない。
お水をキャッチ!/110円
最後に紹介するのは、「お水をキャッチ!」というアイデア商品だ。痒いところに手が届くのが100円ショップのアイデア商品だが、こちらの場合は“痒いところに手が届く”ケースが限定されているように感じるのである。
この「お水をキャッチ!」は家庭の蛇口に取り付けることで、手を伸ばさなくても水が手元に届くというもので、小さな子供のいる家庭では重宝するアイテムだ。実際、リーチが短い蛇口に付けるとその効果を実感できるのだが、この商品の残念な点は取り付け時にある。シリコーンゴム製のベルトを蛇口に巻きつけるスタイルで固定するのだが、ある程度の太さがあり、蛇口の方向が平行でないと取り付けができないのだ。
実際、本品の裏面には6例もの「取り付けられない蛇口」の例が載っており、これ以外の例でも取り付けが難しそうな蛇口があることを考えると、その汎用性に疑問符が出てしまうのは仕方ないだろう。要するに、取り付け可能な蛇口であれば便利に使えるのだが、取り付けられないケースが多々あるため、注意が必要ということである。
今や多くの商品が、そのデザイン性・利便性・コストパフォーマンスの面で高水準を誇っているダイソーだが、なかには今回のような残念グッズもある。「Business Journal 買うべき・買ってはいけない調査班」が選出した今回の商品をしっかりチェックして、ダイソーと賢く付き合っていってほしい限りだ。
(文・取材=「買うべき・買ってはいけない調査班」from A4studio)
※2020年9月中旬時点の情報になります