テレビやスマートフォン、パソコンの画面を見る時間が長いほど、子どもの「2型糖尿病」発症リスクが高まる――。
1日3時間以上をテレビの視聴やPC、ビデオゲームに費やす子どもは体脂肪量が多く、インスリン抵抗性が高いことがわかったという。
英国で報告されたこの研究は、『Archives of Disease in Childhood』(オンライン版3月13日)に掲載された。
研究を主導した英ロンドン大学セント・ジョージ校のClaire Nightingale氏は、「人種や男女を問わず、子ども時代にスマホやPCの使用時間を制限すると、その後に2型糖尿病を発症するリスクが低減する可能性がある」とコメントした。
テレビを見ない、電子機器を使用しない子は4%
これまでの研究で、テレビやPCの前で過ごす時間が長いと、成人では体重が増えやすく2型糖尿病リスクが高まることが報告されている。
そこでNightingale氏らは、子どもにもこれが当てはまるのかどうかを調べたというわけだ。
同氏らの研究チームは、英国のバーミンガム、レスター、ロンドンに住む子ども(9~10歳)4495人を対象に、コレステロール値や空腹時血糖値、インスリン抵抗性、炎症マーカー、血圧、体脂肪を測定した。
1日のうち、どれくらいの時間をテレビの視聴やPC、ビデオゲームなどの電子機器の使用に費やしているかを尋ねた。
その結果、まったくテレビを視聴せず、電子機器も使用していなかった子どもは、全体の4%にすぎなかった。
スクリーンタイムは男子のほうが長い
この研究では、参加した子どもの約3分の1(37%)が、テレビの視聴やPCなどの電子機器の使用に費やす時間は「1時間未満」で、28%は「1~2時間未満」、13%は「2~3時間未満」、18%は「3時間以上」と回答した。
こうした「スクリーンタイム」は、女子より男子で長く、白人や南アジア系よりもアフリカ系やカリブ海系の子どもで長くなる傾向がみられた。
また、スクリーンタイムが1日1時間未満の子に比べて、3時間以上の子では肥満度や皮下脂肪厚、脂肪量指数が高く、レプチン濃度やインスリン抵抗性も高かった。
レプチンは、食欲のコントロールやインスリン抵抗性に関連するホルモンだ。また、インスリン抵抗性との関連は、家庭の経済状況や身体活動量などのほかの糖尿病リスク因子とは独立して認められた。
今回の研究報告は因果関係を証明するものではないが、近年では子どもがスマホやPCを使用する機会が増えており、公衆衛生の観点からも重要な意味をもつ。
これまでにも、スマホやPCの使用時間と健康への悪影響は指摘されている。
デジタルデバイスの利便性と引き換えにライフスタイルを激変させた人類が、今後どんな影響を受けるのか計り知れない。
(文=ヘルスプレス編集部)