第2期の放送準備が、いよいよ始まる。「何が?」って、あの超人気アニメ『おそ松さん』の第2期制作決定が、ついに発表されたのだ。
ネット騒然の“一大朗報”は4月6日、全国6都市で開催された『おそ松さん 春の全国大センバツ上映祭』において放たれた。そう、伝説の6つ子が、とうとう帰ってくるのだ!
2015年秋から翌16年春まで第1期が放送され、幅広い支持を得て、一種の社会現象とさえ呼ばれた赤塚不二夫・原作に基づく型破りなテレビアニメ『おそ松さん』。
昭和世代にはおなじみの6つ子兄弟が、その後、成長し、いずれも揃いに揃って「ニート」としての「(終わりなき)ゆるい日常」を送るという現況設定が妙な共感を集めて、主に腐女子あたりから人気に火が付いた。
その堂々と攻めた破天荒な作風や、換骨奪胎ぶりを指揮した藤田陽一監督をはじめ、シリーズ構成の松原秀氏もキャラクターデザインの浅野直之氏も、もちろん続投する。アニメーション制作も当然ながらstudioぴえろが手掛け、おそ松役の櫻井孝弘氏を筆頭に「キャラ萌え」面で大貢献した人気声優陣も全員が不動のまま帰ってくる。
終わりなき日常の独りで……
件の発表直後からネット上では「キターーー!」や「うおおー!」の雄叫びが飛び交い、第1期終了後の「おそ松ロス」人口がいかに多かったかと感じさせたが、それゆえの狂喜乱舞ぶりを象徴していたのが「再びアノ、ニートのくだらない日常を見られるなんて……(感涙)」的な投稿だろう。
そんな『おそ松さん』現象の過熱ぶりを「ある種、裏から支えているのではないか」と深読みしたくなるような現実社会の報告例も相前後して公表され、その実情の破壊力は、それこそシン・ゴジラ級と形容してもよさそうな深刻さに満ちている。
ニートの増加が生涯未婚率の上昇に影響?
50歳まで一度も結婚経験のない人々の割合を示す「生涯未婚率」という言葉がある。具体的には、2015年の例で男性が「4人に1人」、女性で「7人に1人」という実態が、国立社会保障・人口問題研究所の調査分析から浮き彫りになった。
同研究所は、5年に1回行われる国勢調査の結果を分析し、この生涯未婚率を割り出している。上記の2015年の情勢は、前回調査の2010年結果に比べて男女いずれも3ポイント以上の増加が認められ、「過去最高」を更新したそうだ。
この不本意な記録更新に対して、研究担当者は「非正規労働者の増加も、生涯未婚率の上昇に影響しているのでは」と分析している。
もう少し具体的に結果を見てみよう――。
今回の調査では、男性が5年前の前回比で3.23ポイント増の23.37%、同じく女性も3.45ポイント増しの14.06%を弾き出した。男性の場合で1970年まで、女性のほうは1960年まで、それぞれ1%台での推移が長く続いていたそうだが、40~50年という歳月の経過は「ゴールまでの距離」をかなり遠ざけたといえるだろう。
この生涯未婚率の増加トップ3は、都道府県別に見ると下のようになる。
・男性
1.沖縄…26.20%
2.岩手…26.16%
3.東京=26.06%
・女性
1.東京…19.20%
2.北海道…17.22%
3.大阪…16.50%
この県別・性別の各事情を、機会があれば取材・調査したいとの思いに誘われる。参考までに、生涯未婚率を低いほうから県別・男女別にベスト3を掲げる。
・男性
1.奈良…18.24%
2.滋賀…18.25%
3.福井…19.19%
・女性
1.福井…8.66%
2.滋賀…9.21%
3.岐阜…10.00%
おそ松世代の「嫁」や「婿」は、これらの県で探すべきなのかもしれない。
一方、同じ国立社会保障・人口問題研究所が昨秋に公表した「出生動向基本調査」によれば、「いずれは結婚したい」と考えている未婚者(18~34歳)の割合は、男性で85.7%、女性は89.3%といずれも高水準を示していた。
ところが、実情では「結婚資金」や「結婚のための住居」の確保が障害と苦慮している人々が多く、残念ながら前掲の「非正規労働者の増加」が「生涯未婚率の上昇に影響しているのではないか」という研究者の見解を裏付けている。
誰よりも政治家が「お粗末」すぎるこの国では、ニートな6つ子らの「くだらない日常」にわが身を投影しつつ自嘲するしかないのか……。「これでいいのだ!」とは誰も思っていない。
(文=ヘルスプレス編集部)