アミノ酸が鎖状にたくさん結合したものがタンパク質です。タンパク質は私たちの身体の筋肉や血液の成分として、とても大切なものです。肉や魚、豆腐などのタンパク質を含む食品を食べたとき、胃や腸の消化酵素で分解(消化)されてアミノ酸が生成します。このアミノ酸が腸から吸収されて、私たちの筋肉や血液の成分がつくられます。ですから、アミノ酸を調味料として使用してもなんら問題はないはずです。
しかし、本当にそうでしょうか?
実は、ここに今まで誰も気がつかなかった大きな盲点があるのです。今まで誰も指摘してこなかった点も含めて、アミノ酸を含む調味料の危険性についてお話ししましょう。
アミノ酸から発ガン物質ができる
アミノ酸は糖類と共に加熱すると、別の物質に変化します。これはアミノ・カルボニル反応と呼ばれており、食品の分野ではとても有名です。この反応により、特有の褐色、香ばしい香りが得られることもあります。一方、この反応により食品の品質劣化、栄養価の低下をもたらします。
この反応は煮る、焼く、揚げるなど温度が高いほどよく起きます。室温でもゆっくりしたスピードで起こります。この反応は、アミノ酸だけでなく、アミノ酸がいくつか結びついたもの(ペプチドといいます)と糖類が一緒にあるときにも起こります。
たとえば、調味料の主役であるグルタミン酸ナトリウムと、多くの食品に自然に含まれているブドウ糖(グルコースともいいます)は100度で加熱すると古木のような良い香りがしますが、フライの温度である180度で加熱すると鶏の糞のような悪臭がします。このことは、同じ糖とアミノ酸であっても加熱温度が違えば異なる物質が生成することを意味しています。
料理などによく使用する砂糖とリジンというアミノ酸を100度で加熱すると、ジャガイモが腐ったような悪臭がします。
これらは、ほんの一例にすぎません。
アクリルアミド
ここで、よく考えてみましょう。タンパク質を食べると消化されて、人の腸内でさまざまなアミノ酸ができます。また、腸内にはデンプンが消化されてできるブドウ糖や果糖などの糖類があります。しかし、人の身体を100度や180度に加熱したりはしません。
この点が、調味料のアミノ酸と人の身体のなかで生成されるアミノ酸の大きな違いです。つまり、人の身体ではアミノ・カルボニル反応は起こらないのです。加熱によるアミノ・カルボニル反応により、実にさまざまな物質が生成されるのです。生成される物質は本来、自然の食品には含まれていません。
問題は、このアミノ・カルボニル反応により生成されるさまざまな物質の安全性が証明されていないことです。ジャガイモをフライにしたポテトチップスには、発がん性物質であるアクリルアミドが多量に含まれています。
このアクリルアミドは、ジャガイモに自然に含まれているアスパラギンというアミノ酸とブドウ糖などの糖が、フライという高温加熱の過程で反応して生成したものです。ごぼうやレンコンのフライでも、アクリルアミドは生成します。アクリルアミドには発がん性がありますが、その生成要因はアミノ・カルボニル反応であることは農林水産省も認めています。
このように、アミノ・カルボニル反応による生成物のなかには、極めて有害な物質があります。食品にアミノ酸を主体とした化学調味料を添加し加熱調理したり、加工食品の製造過程で加熱したりすると、非常に多量の生成物ができます。そして、同反応により生成されるアクリルアミド以外の物質の安全性については未解明です。不気味ですね。
(文=小薮浩二郎/食品メーカー顧問)