塩崎恭久厚生労働相が「歴史的な第一歩を踏み出せるような受動喫煙対策ができるようにしたい」と自ら説明に臨んだ5月15日の自民党・厚労部会も、慎重派と規制派双方の合意を得られずに腰砕け――。今国会(=6月18日閉会)での改正も危ぶまれ、「たばこのない五輪」実現のための周知期間を割り込みそうな五里霧中の情勢だ。
そんな国際感覚が薄弱な連中に業を煮やして5月20日、30余りの団体が集う「全国がん患者団体連合会」や患者の支援団体が都内で記者会見を開き、あらためて「建物内原則禁煙を!」と厳しい規制の必要性を訴えた。
ところが、奇しくもこの日、クローズドな件の党内部会で、自らがんサバイバーである三原じゅん子議員が「がん患者の就労支援」に関して発言中、とんでもない問題野次が飛んでいたことが発覚した。
「(がん患者の体調を考慮した場合、喫煙可の職場環境下で無理してまで)働かなくていいんだよ!」
謝罪するも撤回せず
ア然である――。自らの野次であることを認めて22日の謝罪会見に臨んだのは、失言歴数多の大西英男・衆議院議員だ。
もちろん、氏の弁明趣意である( )内を添付する/しないでは<本意≠悪意>の齟齬は生じるが、謝罪はしても「撤回はしません」と応じた尊大ぶりには党内からも批判が噴出し、翌23日に大西議員は東京都連副会長を辞任した。
辞任前日、小池百合子・東京都知事は「自民党都連の代表者らしいなと率直に思います。そのような会話はしょっちゅう(同都連内で)飛んでいる。がんの方々への配慮を欠いた発言だ」とコメント。民進党の野田佳彦幹事長は、「議員の資格なしというよりニンゲン失格」と完膚なきまでに批判した。
この小池・野田両氏の談話に、前出・全国がん患者連合会の天野慎介理事長の「治療と仕事の両立が政策として実行されてきた中で、それに逆行する発言だ……怒りというより悲しい」を加えれば、それで国民感情の代弁となるだろう。