今回は病院の選び方に関するお話です。
“極論君”は、「大きな病気に罹り、特に手術を要するような病気になって、それを治療する病院を選ぶことはとても重要なことだから、インターネットや本、週刊誌などの情報を最大限に利用して選ぶ」という主張です。
“常識君”が質問します。
「『○○に強い病院』『××疾患ベスト100病院』などという情報を、大いに大切にするということですか?」
極論君の意見です。
「そうです。少しでもいい病院にかかりたいのです。日本はフリーアクセスですから、アメリカなどと違って保険によって病院が制約されることはありません。どこの病院にもかかれる権利を持っているのですから、一生懸命によりよい病院を探すのです。自分の命のためです」
そこで、“非常識君”が質問します。
「何を材料に選ぶのですか」
極論君のコメントです。
「いい病院として載っている病院から選ぶのです」
常識君のコメントです。
「日本でもたくさんの病院ランキングが出ています。しかし、どれも情報量が少ないです。客観的な資料は手術数ぐらいです」
非常識君の意見です。
「確かに、何を根拠にいい病院を選んでいるかが明確ではない資料が多いですね。手術数以外も考慮しているものは、とても少ないです。手術数が多い病院は確かに少ない病院よりも、その手術に関しては秀でている可能性は高いのです。しかし、ある程度以上の手術数があればそれで十分とも思われます。多くの病院が年間に100例以上手術をしている一方で、10例しか行っていない病院で手術を受けたいとは誰も思わないはずです。誰もが問題外と思うような病院を除いて、その後にランキングすることはとても難しいと思います」
手術数をもとに適当にランキング?
常識君のコメントです。
「客観的な情報でしかランキングは作成できないでしょう。手術数以外で客観的なことは、手術時間とか、出血量とか、合併症の頻度とか、手術後の死亡率とか、専門医や指導医の数なども実は客観的なデータになります。また入院日数なども評価項目に入れることも可能です。しかし、そんなデータをあまり見たことはないでしょう。
また、病院全体のランキングであれば、医療従事者の数とか、それぞれの医療職の平均在職年数とかも客観的なデータになりますね。訴訟の数なども実は役立つかもしれません。そんなデータを元にしてのランキングは、実は存在しないのです。ある程度問題外の病院を省いて、そしてその後は基本的に手術数をもとに適当にランキングされていることがほとんどでしょう」