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なぜ40~50代男性は自殺するのか?身近の元気な人が突然自殺、こんな兆候は危険

文=佐藤茂則/心理カウンセラー
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なぜ40~50代男性は自殺するのか?身近の元気な人が突然自殺、こんな兆候は危険の画像1「Thinkstock」より

 2017年、社会はAI(人工知能)で動き始めています。いたるところにAIが配置される社会になろうとしています。

 対人サービスの介護施設ですら、AIによって異常をいち早く察知して速やかに対応できるようになりつつあります。AIは便利という言葉を超えて、その一部を人間にとって代わる可能性すらあります。つまり、介護施設において、異常があっても関心を示さない人間よりも、AIが異常を察知して、その指示に従って人が動くという未来が間近に迫っているかもしれません。

 その一方、カウンセリングの現場ではAIは簡単に導入が進まないとの声があります。しかし、カウンセリングでも、膨大なケースを入力することにより、より適切で速やかな助言を提供することが可能になります。

 AIに人間を超えられないものがあるとしたら、血の通った“生の感覚”でしょう。相談に来た人の発する言葉を一つひとつ確かめながら、受容・共感する対面のコミュニケーションを通じて生の感覚をつかむ――。ここに、精妙な人間関係を紐解くヒントが詰まっています。

 今回は、そのような生の感覚をつかむカウンセリングの要素を紹介します。

長時間労働が慢性化し、心を病む人が増加する社会

 1998年から12年連続で自殺者が3万人を超えていましたが、2015年には2万4025人(厚生労働省)に減少しています。しかし、20歳から39歳までの死因の1位が自殺というのは気になるところです。

 1991年に電通社員が過労自殺し、遺族が会社の責任を追及した「電通事件」で、2000年に会社が1億6800万円の賠償金を支払うことで結審した裁判をきっかけに、日本社会でメンタルヘルスへの取り組みが動き出しました。労働安全衛生法により、長時間労働への歯止めとして100時間の残業を超えた場合は産業医の面接が義務化されました。

 ところが2016年、再び電通社員が自殺するという事案が起こってしまいました。長時間労働と、それに伴う過労死に対する企業の理解が進んでいない実態が露呈したのです。

 現代は、職場でも家庭でも心を病む人が増加しています。通信や情報技術の進展とともに仕事の量も増え、同時に質も早さも求められるようになりましたが、人間の対処能力が追い付かず、結果的に心身共に疲弊してきたことによると考えられます。

 そのようななか、国は「働き方改革」を掲げています。企業も、単なるパフォーマンスではなく、実際に労働者が働きやすい職場づくりや休暇を取りやすい仕組みをつくる必要あります。

 労働者の側も、職場での人間関係、家庭内の家族関係改善に取り組み、心にゆとりを持つ必要があります。「働く」とは何か、「生きる」とは何か――、そうしたことを普段から考えられるくらいのゆとりを持ちたいものです。

佐藤茂則/心理カウンセラー

佐藤茂則/心理カウンセラー

有限会社ミック研究所 代表取締役社長

NPOメンタルサポートアカデミー 理事長

一般社団法人事業者厚生メンタルヘルス協会 代表理事

企業、自治体、医療施設、介護施設の人財教育とEAP(働く人のメンタルヘルス支援)支援。心問題をベースにした講演、セミナーは企業、医療施設、自治体まで多方面から好評を得る。講演を聴くだけで癒されると評判。NPOメンタルサポートアカデミーでは「聴くことは誰にでもできる身近な社会貢献」をスローガンに埼玉、東京でカウンセラーの養成講座を行う。著書多数。

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