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急性虫垂炎(画像はモザイク加工のもの)
右下腹部にある盲腸から出ている細長い器官に炎症が起きている状態が「虫垂炎(ちゅうすいえん、英:appendicitis)。昔から、俗に「盲腸(炎)」と呼ばれてきた膿(化膿性)がたまる炎症だ。
急性虫垂炎の多くは、糞便が大腸内で長時間停滞することで(水分が吸収されて)石のように硬くなる「糞石」によって虫垂内腔が詰まる(「閉塞」される)結果として生じる。
この閉塞により、先のほうの虫垂内腔で「大腸菌」をはじめとする腸内細菌の異常増殖が生じると、「化膿性炎症」が惹起されるわけだ。
急性虫垂炎は、次の3つに分けられる。すなわち、①カタル性虫垂炎、②蜂巣(ほうそう)炎性虫垂炎(蜂窩織炎性虫垂炎とも呼ばれる)、③壊疽(えそ)性虫垂炎、である。
カタル(catarrh)性炎症は粘膜の滲出性炎症のこと。①は、粘膜にびらん(ただれ)ができ、急性炎症の中心的役割を果たす白血球「好中球」と「フィブリン(繊維状タンパク質:fibrin)」の粘膜表面への滲出が認められる早期病変である。
最も一般的な化膿性虫垂炎である②の場合、粘膜の潰瘍、全層性の強い「好中球浸潤」と炎症浮腫(むくみ)をきたす。限局性化膿性腹膜炎を伴うが、組織構築の破壊は少ない。
③の壊疽性虫垂炎では、炎症に「循環障害」が加わり、「全層性の破壊性炎症」がもたらされる。しばしば「虫垂周囲膿瘍」が形成され、化膿性腹膜炎が高度に広がるリスクが高い。
この壊疽性虫垂炎の場合、病巣内にグラム陰性桿菌(Gram-negative rods)やグラム陽性球菌(Gram-positive cocci)の菌塊(きんかい)が認められる割合が高い。
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