行楽シーズンが到来したとはいえ、人混みに行くのは気が引ける昨今。そこで、密にならないアクティビティとして人気を集めているのが“キャンプ”だ。かつては家族や仲間と楽しむオートキャンプが主流だったが、最近ではひとりでキャンプをする“ソロキャンプ”や、食事やテントをキャンプ場がすべて用意してくれる“グランピング”など、多様化している。
このブームに乗ってキャンプを趣味にしたい、という読者も多いと思われるが、キャンパーデビューに必要なのは、なんといってもテントやバーナーなどの「キャンプギア」だ。
日本最大級のオークションサイト「ヤフオク!」(以下、ヤフオク)には、さまざまなキャンプギアが出品され、予算を意識しながらアイテムを選ぶことができる。専門店で買うよりも安く手に入ることもあるので、ビギナーにはおすすめの選択肢だ。
しかし、出品物の中には実用性に欠けており、選ぶと後悔しそうなキャンプギアも混在している。そこで今回は、ヤフオクで見つけたガッカリキャンプギアを5つ紹介しよう。
大容量ソフトクーラーボックス
飲み物や食材を入れるクーラーボックスはキャンプの必需品。ソフトタイプなら安いし軽くてかさばらない……と思いがちだが、キャンプ目的でクーラーボックスを買う場合はハードタイプを選ぶのが鉄則だ。
ソフトクーラーボックスはハードに比べて断熱材が少なく、保冷力が劣る。保冷力は気温上昇や直射日光など周囲の環境に影響されるため、特にこれからの季節はソフトクーラーボックスでは心もとない。
また、食料や飲み物をギュウギュウに詰めた状態で30L以上の大容量ソフトクーラーボックスを持ち歩くのは体力的にキツいはず。ヤフオクでは大容量のソフトクーラーボックスが数千円で購入できるが、同じ値段ならキャスター付きの中古ハードクーラーボックスを選ぶのがベターだ。
中古テント
キャンプの肝となるテントは大きさやブランドによって値段がピンキリで、3人用のテントで5万円近くするものもある。ビギナー心理で「続けられるかわからないから中古にしよう……」と考えているなら、少し待ってほしい。
どんな中古品も同じだが、出品物の状態は前の持ち主の保管状況に大きく左右される。特にテントは使うたびに朝露や結露が滴り、時には雨にさらされるので、しっかり手入れしないとすぐにカビが発生してしまうアイテムだ。中古品は経年劣化で耐水性が下がっている可能性が高く、写真や説明だけではわからないことも多い。これらの要素を考えると、オークションサイトで中古テントを買うのはちょっとしたギャンブル。幸いヤフオクには新品のテントも出品されているので、そちらを狙うのが吉だ。
エアーベッド
夜はシュラフ(寝袋)に包まれて眠るのがキャンプの醍醐味だが、シュラフだけでは体が痛くて熟睡できない……。そこで「空気でふくらませるエアーベッドを下に敷けば寝心地もよくなるはず!」と、エアーベッドの購入を検討している人もいるだろう。
しかし、実際のキャンプシーンにエアーベッドを導入すると、やることが多いキャンプ中にさらにポンプで空気を入れる手間がかかる。しかも、エアーベッドは耐久性の弱いものが多く、すぐに穴が開いて使えなくなるなどデメリットが多数。中には、寝ている間に空気が抜けてしまうエアーベッドもあるとか。ヤフオクには中古で数百円、新品でも1000~4000円前後のエアーベッドが多く比較的安価だが、空気が漏れて何度も買い直すとなれば意味がない。しぼむ心配がなく、クッション性のあるキャンプマットの購入をおすすめする。
ツーバーナー
キャンプ最大の楽しみといえば“キャンプめし”だろう。調理時は焚き火や炭火の他に、ガスやホワイトガソリンを使う“バーナー”が熱源になる。ビギナーは、ホワイトガソリン式よりも簡単に点火できるガス缶やカセットボンベ式のバーナーがおすすめだ。
バーナーには1口コンロのシングルバーナーと、2口コンロのツーバーナーの2種類がある。一見、コンロが多い後者の方が便利で料理のレパートリーが広がりそうだが、キャンプ本番となると話は別。その大きさと重さがネックになり、倉庫に眠る可能性が高いキャンプギアのひとつなのだ。
たとえば、スノーピークのギガパワーツーバーナースタンダードは、本体サイズが約56.3cm×51.4cm×38.3cmで重量約7kg。別売りのガス缶も2つ設置しなければ使えないので、さらに荷物が増えてしまう。とにかくコンパクトにキャンプをしたい人にとっては、避けたい代物だ。
また、ヤフオクに出品されている中古ツーバーナーの説明書きを読むと“動作点検していないもの”もあり、手元に届いてから使えない可能性もある。どうしても熱源を増やしたい場合は、ツーバーナーではなくシングルバーナーを2つ持っていくのが賢い選択だ。
アウトドアワゴンテーブル
駐車場とキャンプ場が離れている場合、荷物を入れて移動するキャリーワゴンはかなり重宝する。中でも人気を集めているのがColemanの「アウトドアワゴン」だ。別売りの「アウトドアワゴンテーブル」を設置すれば“テーブルとしても使える”という触れ込みだが、ワゴン本体は今も人気なものの「テーブルはいらないかも」というユーザーの声が上がっている。
件のテーブルは布張りでやわらかく、料理や飲み物を置くとこぼれてしまうため、食事用のテーブルとしての機能はあまり期待できないのだとか。さらに専用の木製テーブルも売られているが、かさばるアイテムが増えてしまうのは本末転倒だろう。本体のアウトドアワゴンを買う場合も、ヤフオクに出品されているのは赤色ばかりなので、他の色がほしいならヤフオクは選択肢から外したほうがよさそうだ。
キャンプギア一式を新品で揃える必要はないが、テントのように新品が望ましいアイテムも多い。ただ、ヤフオクでは時期によってさまざまなキャンペーンを実施しているので、クーポンを利用すれば、多少買い物に失敗しても気にならないかも?
(文=清談社)