ここ数年、フレーバーウォーター(香りや味の付いた無色透明の飲料品)が人気だ。2017年9月に、サントリー食品インターナショナルが透明なミルクティー「PREMIUM MORNING TEA」を開発し、話題となったのは記憶に新しいところだろう。
フレーバーウォーターといえば、昔から「桃の天然水」(同)などに熱烈なファンがおり、ある程度需要のあったジャンル。そこで各社は近年、「PREMIUM~」や2015年に発売され大ヒット商品となった「ヨーグリーナ&サントリー天然水」(同)、10年発売の「い・ろ・は・す みかん」(日本コカ・コーラ)など新商品を続々と市場に投入しており、ニーズの高まりが窺い知れる。
一方、ブームの裏で、「透明なのに味がするのは不思議」「何か体に悪影響を及ぼしそう」など、不安を口にする消費者も多い。そこで、「All About 食と健康ガイド」の南恵子氏に透明飲料(フレーバーウォーター)の人気の理由や、体への影響などについて、話を聞いた。
透明飲料は水分補給の新たな選択肢
「5、6年前頃からフレーバーウォーターの需要が高まっています。果汁100%などのジュース類は味がしっかりしているのに比べて、フレーバーウォーターは香りも味も控えめで飲みやすい。夏場は特に健康面で水分補給が重要で、冬も乾燥しますので水分補給は欠かせません。しかし、ただの水で補給するのは飲みにくいという人もいます。そういう意味で、フレーバーウォーターのような、ほんのり味が付いているものはジュースほど甘く重くはなく、さっぱり喉越しもいいということで、人気なのだと思います」(南氏)
では、水の代わりに透明飲料を飲むことで、何かメリットは得られるのだろうか。
「水は薬ではなく、あくまで食品なので、デトックスになるとか、そういう効果効能を謳ってはいけないもの。フレーバーウォーターも同じく食品で、たくさん飲んだからといって、特別健康になるというものではありません。水を1日2リットル飲みましょうと言われていますが、風味のない水分をたくさん取るのが苦手な方もいらっしゃるでしょうし、かといってコーヒーや紅茶を1日に何杯も飲むと、カフェインが気になる。『PREMIUM~』は、新しいフレーバーウォーターということで、水分補給の新たな選択肢として、楽しみの幅が広がるということはいえるかもしれません」(同)
だが、水とは違い少なからず糖分が含まれているため、体によくないと考える人もいる。
「人工甘味料について、エコ派の方や健康志向の強い方は、“人工=毒”のように考えているかもしれませんね。しかし、人工の定義もあいまいで、たとえば工業的にトウモロコシを酵素で分解してブドウ糖や果糖の液糖をつくりますが、これは「天然」原料になります。透明飲料だけではなくジュースにしてもコーヒー飲料にしても、液糖を加えて甘さを出しているものは多いですが、安全性については食品衛生法で認められているので、摂取したからといって、ただちに体に悪影響を及ぼすものではありません」(同)